*>>ナユカ視点
えー。このバトルロワイヤルもたぶん終盤戦。フィールドは更地になり、残るものは闘技場だけ。さらに誰一人として脱落した人はいないみたいで全員を目視した。
控えめに言ってこれは酷い。上下左右前後、全て囲まれてしまっているので逃げ場もなければ1番先に狙われる位置にいるのだ。ゲリラライブはひとまず終わらせないとね。歌ってる間に攻撃されたら意味が無い。
だがしかーし!私の魅力値は既にMAX!ここまで来れば魔力も体力もどんどん回復していく。なのでどれだけ弾幕を撒き散らそうがMP切れになることは無い!
「さあ、私の花が咲き乱れる。みんなの力をここにひとつに!【生花繚乱「エドヒガン」】」
桜色の弾幕が私からぶわっと吹き荒れる。花弁は闘技場を超え付近一帯を包むほど。視界一面をピンク色に染め上げた。
私の髪色と同じ淡いピンク色。全身に今までにない程の全能感が駆け巡る。
次は煌びやかなバトルで観客を魅せればいい!!
「これまたとんでもないであります!」
「手遅れですね…」
軍曹とビュアさん、私の攻撃をかいくぐりながら闘技場に向かって来た。
軍曹は兵隊人形をこれでもかと引き連れその数は以前バトルした時よりもかなり増えている。正しく軍団規模…
ビュアさんも先程のと違い姿を現している。さらに呼び出しているワンボールが禍々しいオーラを放っていた。
「【全兵!付近のプレイヤーに攻撃!】」
1番初めに動いたのは軍曹。その多くの兵隊が私とアリアさんのみならず、みんなのところに進み始めた。兵隊それぞれも持つ武器が違う。盾に剣に槍に銃…銃!?いや、ミカちゃんがとんでもない巨砲を振り回しているから有り得なくは無いのか…。ゲーム内では初めて見た気がする。
「ブレスです!ニワタリ!」
「ニワトリがそんなもん吐けるか!コケ」
アキアカネさんも闘技場内に。…この闘技場中も外も無いがかなり接近してきている。
私は全方位に出していた弾幕で軍曹の人形を弾きつつ、体力の多そうなニワタリちゃんを狙う。身体が変化しすらっとかっこよくなっているニワタリちゃんだが、元々の面積が大きいので弾幕が当たりやすい。
あ、回避先にヒヒリーさんとハルトさんもいるのでついでに巻き込んでおこう。
「なんかでかいの来てるってー!」
「よそ見か?w」
うんうん、完全に混戦だ。そしてさらにミカちゃんが爆速で闘技場を通過。そのまま逃げそうな勢いなので私とビュアさんが攻撃を進路上に置き妨害しておく。
「ちっ、完全に不利じゃねぇーか!」
「ほっておくと〜端っこから永遠に砲撃してるでしょ〜?」
どうやらユキがこの場に誘導したらしくミカちゃんはご立腹だ。対してユキは白装束をはためかせニッコニコ。一番ヤバイので少し距離をとる。
「ん。混戦は、好都合」
ヒカリさんもご登場、これで全員が完全に中央に集合した。先程から見えている上と下もそろそろ攻撃が飛んでくるのだろう。その前に弾幕をありったけ撒き散らしておく。
そして、すぐに上と下から攻撃が飛んできた…って!?なんか上からヤバいの飛んできてるんだけど!?!?
私の知るものであれば多分間違いなく当たれば即死。お面の効果も突き抜けるほどのダメージを受ける。
〔ジャンプ〕と〔スーパーアクセル〕を使い全力で真横に逃げる。
下からもとんでもないでかさの何かが迫って来ている。なんかよく分からないけどどっちもヤバい気がする。
「!?」
「あれは!?」
「ん!?」
上から豪速球で落ちてきたものを見て、何かわかった人たち。
「な!?」
「え?」
「おっも!?」
「あ!兵隊人形が!」
下から来たなにかに飲み込まれた人たち。
セーフ!私はたぶんセーフー!!
キラッと光ったその豪速球。次の瞬間には世界を白に染め上げ、闘技場ごと破壊する威力の「爆弾」が炸裂したのだった。
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