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初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
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Z351  戦闘機バトル

公開日時: 2024年10月5日(土) 23:28
文字数:2,029


*>>ナユカ視点



 空に飛び立って数分。ヒイロさんから教えてもらった勇者にまつわるおとぎ話に酷似した状況。そりゃ。事情を知る来訪者からしたら是が非でも彼をその光の元へ届けたいはずである。


「あれ?てことはそのエルフさん達っていまピンチなの?」


「どうでしょう…我々も現在交信ができておりません…あれだけ無茶な着陸をした私達でもある程度の損傷で済んでいますから…無事だとは思うのですが…」


「おとぎ話的には今ピンチって感じじゃな〜い?」


「声の主はほぼ間違いなくエルフが神聖視する大樹のものでしょう…ですが」



「ん?なんか懸念事項でもある〜?」


「いえ…大樹はどうやってギビンさんに声を届けたのでしょう?そもそもなんでここに居る私たちを認識しているのでしょう?」


 えっと…?どういうこと?


「普通に〔念話〕とか使ったんじゃないの〜?」


「そうですね。こっちならスキルだと思います。でも大樹は我々の故郷の星にあるんです。ノアに載せられるものでも無いですし」


 あ…そっか。大樹を持ってこれるわけないもんね。


「向こうにはスキルやオーブなんてもの…なかったのですが…」


「あれま」



 来訪者は太陽系に来てからゲームシステムが適応された。では来訪者の故郷にいる大樹は?

 本来ならスキルを使うどころか知らないはずである。ということだろう。


「まあ、それは今考えても仕方ないよ〜。あの緑の光が教えてくれるんじゃな〜い」


「スキル…コッコ」



 確かに私達が今考えたところで何も分からない。違和感はあれど、それをどうこうできるほどこの世界に詳しくもない。

 ただそんなユキに聞こえない程度の小さな声で、ニワタリちゃんがなにか考え込むような…それは今までずっとニワタリちゃんを抱えてくれていたウルドも感じ取ったようで目が合った。





 でもニワタリちゃんは話す気もないようですぐにいつも通りの表情?になる。



「おや〜?」


「どうしたの?」


 そんなユキの声に反応して前を見てみれば見知らぬ戦闘機が複数飛んでいた。


「全員!揺れにご注意〜」


「え?うわっ!?」




 そしてその戦闘機はこちらに気付くとすぐさま進路をこちらへ。躊躇いもなく発砲してきた。


 ユキが回避行動のために機体を大きく動かす。激しい追撃を振り切るためにさらにバレルロールがごとく機体を回す。


「なんで!?プレイヤーじゃないの?」


「違います!あれはSBT 02シリーズッ!敵です」



 え!?敵も戦闘機持ってるとか聞いてない!というか情報量が多い!


「ん〜。誰か戦闘機操縦変わって貰える〜?」


「いま!?」


 え、ちょ今ユキ操縦しなくてどうするのさ!?


「あ、僕、宇宙船の免許なら持ってますよ。一般のですが…」


「なら操縦行けるね〜。ちょっと変わって貰える〜?」



「わ、わかりました」


「私たちの命は次世代の勇者君に任せるよ〜。でナユカ〜」


「なに?」



 ユキがギビンさんと操縦を変わる。私を呼ぶユキ。


「歌ってバフを頼めるかな〜?」


「了解任せて!」



 どうやらバフが欲しかったみたい。そのままユキは幾度かのスクランブルの末宇宙船後方にいる敵機を視認する。


「んじゃ〜。張り切っちゃお〜!!」


 ユキが何をするかは分からないけど私はユキのために歌う。船内は狭いからかなり音楽の音量を絞って私もそれに合わせておく。戦闘音って意外と大事だ。


 果たして真空中の宇宙で音が大事かと問われたら自信はない。


 私のバフを確認したユキは手に魔力を集め船の内壁を挟み直接外に〔魔法陣〕を展開。そこから魔弾を出現させた。なるほど、これは〔遠隔設置〕ではなかろうか。私もってないけど、アリアさんがよく使ってる気がする。

 私以外も持ってないだろうけど。ユキなら船外に攻撃が可能だ。


 激しい回避行動。敵のミサイルらしき攻撃が戦闘機を掠めるほど近くを通り過ぎて行く。


ピピピピピッ!


「ッ!ユキさん!!」


「引き付けつつ上へ!その後急降下ッ」



「はいっ!!」



 船内に響き渡るロックオン警報。


「ま、まさかSBT 01h!?」



 新型かな!?とりあえず歌は止めないままどこか掴める場所を…

 ない!?既にミサイルらしき攻撃は来ているのかギビンさんは思いっきり機体を下げ、ユキは後方全域に弾幕を張る。


 ちょッ!?体が浮いて!?



「キャッ!?」


「ごケッ!???」


「そのまま歌え!」



 浮き始めた体はウルドにぶつかった。がウルドが私の肩を掴み体が浮かないように固定してくれた。

 見ればウルドも右脚を壁のくぼみで固定し何とか耐えているようである。

 なんか私の背中には鳥が発してはいけない声をあげたニワタリちゃんがいる気がするけど今はごめん!


 船内全体に響く破壊音。ぶつかったのかと思ったが直前でユキの弾幕の方へ逸れたらしい。機体が安定する。


 正直ウルドがいなかったら危なかった。おそらく船内ピンボール大会が開催されてたと思う。


 とりあえず、歌いながら目でありがとうと伝えといた。本人は別になんともないと言いたげな態度だ。

 ちなみにそのすぐしたで死んだ顔のニワタリちゃんがいたとか…。そ、そんなに重くなかったはずだよ!!

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