「おつかれ〜」
「はぁ…。分かってはいたんだがなぁ〜。いざ対面すると絶望だ…」
現在時刻は夕方になろうという頃。ここチャンネル1番にはいつもよりさらに大きくなったように感じる闘技場…。これ見た目だけならコンサートホールの方が近いよね…?それよりでかくなってそうだし。
あまりに観客が多いからチャンネル5つで見れるようにしてるってことはこのあと5倍は観客がいるということで…。このゲーム人気あるんだなぁー。(遅い)
その観客たちの見守る中で今我らが「白雪姫」、ゆきと。そしてもう1人、我らが誇る近接、ハルトが対峙していた。
「そんなに嫌がらなくていいじゃん〜。ハルトもよくここまで上がって来れたね〜?快挙じゃない?」
「今目の前にいる人にその快挙をぶっ潰されそうなんだがな?」
「潰さないよ〜…。凍るだけ♪」
「できるだけ優しくお願いします…」
「大丈夫!大丈夫!痛くないよ〜」
何やらユキはやる気満々だね?どうしたの?
「氷…切れるかなー…」
「あ、そうそう〜。前にナユカをやっつけちゃった仕返しをしないとね〜♪」
「あっ…」
あ、これ私のせいか!?
この会話中にシールドが展開されてスキルオープンのコールがかかる。
「とりあえず、逃げようかな【気力纏い】」
「さぁ代償はあなたの命。【あなたの美しい命を凍らせましょう】?」
《…2…1…スタート!》
「【瞬会】!!」
「うひゃっ!?逃げるんじゃなかった?」
即座にユキに肉薄するハルトその手には何も持って無い。
「よくよく考えたら持久戦やって勝てる気しねー…」
「なるほどっ!よっ!」
そのまま殴りかかってくるハルトに魔弾を放ちパンチを逸らす。そしてお返しに水弾を飛ばす。
「ちっ!〔装備〕剣鬼「一」」
拳で止めるのはまずいと感じたハルトは、剣を装備し水弾を切る。すると水弾はその場で消えた。
「魔弾の核を切ってるんだっけ?めんどい!」
「【剣ノ弾幕流儀】っ【追】!」
ハルトの剣から放たれる追跡する風の斬撃。がユキを襲う。
「また、めんどい!凍らないものばっかり打ってきて!」
「【直】」
今度はまっすぐユキ目掛けて斬撃を飛ばす。ユキも負けじと弾幕をハルトに向け放つが剣で切られるか、風の斬撃で相殺される。
「フフフッ!【吹雪の中に私は生まれる】」
「な!??」
そしてユキが技を唱える。その途端会場は吹雪に包まれた。当然視界も悪くハルトはユキを見失う。さらに。
(やばい…これは凍傷狙いか?奇襲か?)
ハルトの体温はどんどん下がっていく。
「〔装備〕「熱皮猫の御守り」」
「へ〜…」
途端にハルトは温かさに包まれる。「熱皮猫」とはいつしかのイベントで入手していた素材。それと生産者としての技術の賜物である。
(あん時、取っといて良かった…もしかしたらと思って作ってた俺もナイスだぜ)
「【山の中の幻小屋】」
「ん?」
吹雪の中現れたのは雪でできたイグルー。その中にユキは籠る。
当然観客席からは見えるように補正が入ったのだが、ハルトには未だ吹雪の影響で視界全てがほとんど真っ白なのである。イグルーなんてものが出来たことに未だに気付いていない。
そこへ…
「ある者に小屋の中で約束をした。それは優しくも美しい命。そこにあったものは輝いていた。彼の者は山を無事に下り村につく」
その途端会場に流れるは語り口調のユキの声。
「詠唱か!!」
かつて黒龍戦の時にアリアが放った極大魔法と同じように〔詠唱〕を必要とする高威力な技。それが来ると会場の観客達は息を飲む。
空へ飛び立ち必死になにかを探すハルト。
「っ!あった!一気に行くぜ!?【剣ノ名ヲ持チ表ス・剣鬼「一」】切り裂け!!!!」
ススっ…パァッーーン
途端に横一文字に割れる世界。それは全てを切り裂き。その先で煌めいていた〔魔法陣〕を綺麗に真っ二つにした。
途端に収まる吹雪。辺り一面が雪原に産まれ変わっているがその中にひとつポツンとある雪で出来たカマクラ。
「見つけた!」
ハルトはそこに剣で斬撃を放ち…
「【集】!」
「私は傍からそっと見ていた。彼は村人にそのことを「私」のことを話。その話は広がっていく」
その全てがカマクラへ集まるように落ちて行く。
ドコッ!
崩れるカマクラ。
「今ここに、約束は破られた。ならば、私はあなたを凍らせる。私を知る全てのものごと吹雪に見舞われればいいのだ。ここは山中…」
「【瞬会】!」
「【既に私の吹雪の中なのだから】」
ユキに剣を振るハルトは、途端に足元が崩れるような感覚に囚われる。
いや、実際に崩れるように地形ごと変化していた。
そこは、雪の振る山の中。上に行くほど吹雪が強まっている。死のエリア。全てを飲み込む雪に何もかもが凍り、そこを飛び出し遭難したものに救いはなく。自らの孤独と、寒さに震えいつか凍え死ぬ。むやみに歩き回ることなかれ、そこには1人吹雪の夜に消えた「雪女」があなたを凍らせるためにさまよっているのだから。
会場は、もはや蜂の巣をつついたように荒れていた。いまさっき全てを凍らせた本人が今度は会場内に雪山のような光景を生み出しているのだ。
「いやー、ユキやりすぎだねー!」
「全くですわ…」
「また後で取材生放送ですかね?」
「なあ、あれチート疑われても仕方ないぞ?」
観戦室のメンバーも知らなかったユキの技に呆れるばかりだ。
(おいおいおいおい!!?ユキさん!?こんなの聞いてませんよ!!?)
低空飛行でできるだけ木々に身を隠しながら移動しているハルトは心の中で1人ごちる。
「〔装備〕黒龍「煉」」
そうして、ハルトは黒い剣を取り出しながら笑う。
「よし、もう1ラウンド始めようか!?」
こうして双方奥の手として隠してきたものを解放する。約1名はやけくそとも言うが…まだまだ戦いは続く。
ユキ
HP
├────────────╂┨
MP
├────╂────────┨
WP
├──────╂──────┨457%
ハルト
HP
├───────────╂─┨
MP
├─────────╂───┨
SP
├───────╂─────┨
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