「ナユカさん…」
私がモンスターを倒し終わると後ろからビュアさんとアリアさんがやってきた。2人ともなんか苦笑いしてるけど…なにかあった?
「とりあえずここら辺は一掃できましたかね」
「このでかいのがノアですの?」
2人とも私が首を傾げたのを見て雰囲気を変えたいのか、それぞれそんなことを言っていた。
『ナユカ〜こっちももう終わるけどどう〜?』
『うん!終わったよー』
「ユキもあらかた終わったみたい!」
「ではノアはひとまず無事ですかね」
うんうん、もうモンスターもほとんど見えないし、地図にも赤点は目に見えるほど減ってるね。
他にも地図には闘技場の周辺にたくさん赤点があるが、それよりは少なくともたくさんの青点。つまり味方のプレイヤーもそれなりにいるから大丈夫だと思う。
『一旦みんなでノアに入ろうか〜』
『了解』
「ユキがノアに集合だそうです!」
「あの中にはいるの?」
「ですです」
「おぉー…動画映え…」
『ビュアちゃん心の声がもれてるよー』
『配信者ならそこ気になるよな〜』
『中入れるの!?』
ビュアの配信者魂はひとまず置いておくとして、中でなにか待機しているアリオト艦長に報告してあげないとね。
ついでにミカちゃんのこともユキなら何か知ってそうだし…
*
「ナユカ〜おつかれ〜」
「うん!ユキもお疲れ様。ハルトさんも」
「俺が着いた時にはほとんど終わってたんだがなぁw」
私たちはノアに集合し、ここには私とユキ、ビュアさんに、ハルトさん、アリアさんがいる。しかし、やはりと言うべきかミカちゃんの姿がどこにも見当たらなかった。
ひとまず、この合流した5人でパーティーを組みなおしておく。
「ミカちゃんは今どこにいるの?」
落ち着いたところでユキに聞いてみたのだが…
「場所までは分からないんだよね〜」
あれ?
「じゃあ何してるの?さっきなんかワールドメッセージが飛んで来てたけど」
「大規模戦闘システムってやつを起動させたのは間違い無いだろうけど〜…。少し遅れると言ったっきりメール無いんだよね〜」
この感じだとユキも知らないところで何かあったのかな?
「まあ〜、多分大丈夫でしょ〜、ということで中入ろうか〜」
私の心配をよそに、ユキはさっさとノアの中に入っていく。ユキはそこまで心配してないのかな?でも大規模戦闘システムなんて物どこで見つけたんだろうね?…うわッ!!!?
考え事をしながらユキのあとを追ってノアの中に入ろうとしていると、うっかり足を滑らせてしまい転けそうになる。
「大丈夫か?」
私の後ろにはハルトさんがいたので咄嗟に支えてくれたおかげでコケることはなかった。
「考え事してたら足を滑らせちゃって…」
「気おつけろよ」
「ごめんなさい」
「ま、怪我してないならいいけどな」
うん。考え事は歩きながらしてたらダメだね。あと、意外とハルトさんが紳士的というところに少しだけ驚いた。アリアさんが…まあ、こんなこと考えてたらまた転けそうだからやめてさっさと行こう。
「早く進んでくださいですわ…」
「うっせーなぁw お前足遅いんだからちょうどいいだろうがw」
ブチッ
あ…
「ナユカさんとビュアさんは先に入っといてですわ」
「あ、でも…」
「入っといてですわ」
「「は、はいッ!」」
こ、怖ッ!!アリアさんの横に般若が見えるよ!!あと左手に魔弾浮かせてるし!!あれ赤点滅ってことは爆弾じゃん!!
私たちは2人でそそくさとノアの中に逃げて行った。
だからきっとノアの中で聞こえた爆発音は気の所為に違いない。そうだよ!きっと!たぶん…。
ハルトさん強く生きてね…。
*
私たちは外で起きているであろう惨状は気付かないふりして、中で作業をしていたアリオト艦長に防衛成功を報告する。
「よくぞ退けてくれた!」
それを聞いた艦長は、疲れ果てていた顔に光がさすかのようにキラキラとした目をこちらに向けている。イケオジがその顔は似合わないよ?
「本当に助かった。こちらもこのノアの電源を復活させていた所だ。ありがとう、君たちのおかげだ」
《「ノアNo.2」の防衛に成功。緊急シークレットクエスト:「ノアNo.1.2.5.7」の死守をクリアしました》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
緊急シークレットクエスト:「ノアNo.1.2.5.7」の死守
各艦「ノア」シリーズの死守。または協力関係を構築せよ。
勝利条件:どれかひとつでも「ノア」の死守成功。
敗北条件:全艦「ノア」の大破。「来訪者」の全滅。
クリア状況:クリア
1:防衛成功。損耗率42%。
2:防衛成功。損耗率0%。
5:未発見。損耗率100%。緊急脱出中。
7:接触中断。防衛中。損耗率79%
「ノアNo.7」はイベント継続中。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
艦長がそう私たちを労うと同時、クエストクリアのアナウンスがかかる。
ただし、この感じだとNo.5は既に落とされてNo.7はプレイヤーがもしかしたら劣勢ってことかな?
「アリオト艦長。こちらの情報だと5は多分大破。7は結構ピンチみたいなんです!!どうにかできませんか?」
私がそのことを艦長に報告すると艦長は…。
「そうか…。5号はやられたか…。船員と乗客は脱出できてるといいのだが…。それに7号も…。もしかして7号の大まかなな場所はわかるかな?落下した惑星だけでもいいのだが…」
大まかな場所まではクエストには書かれていない。私が答えかねていると…。
「今仲間と連絡して見るよ〜」
「こちらからも視聴者にコメント求めてみましょう。知ってる方いらっしゃいますか?」
『No』
『残念ながら』
『知らないなー』
あまり成果なしかな?
『っと!もしもし!!聞こえるかー?』
そんな時に私たち「リリース」のメンバー全員に声が聞こえてきたのだった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!