3人の言う結晶洞窟の入口にやってきた。が見たところただの崖で何もない。洞窟らしい場所もないためやはりもうなくなってしまったのだろうか?
「ん〜。前はここにあったんだけど〜今は何も無いね〜」
「ですね。ここに洞窟があったなんて当時は知りもしませんでしたが…」
「…」
遥々来たのにこの調子だと結晶洞窟は諦めて他を見学した方がいいかな?
「待って」
「ん?ヒカリ。どうしたの?」
ここでヒカリさんが待ったの声を上げた。表情は無表情だが彼女なりになにか引っかかる部分があるらしい。
「さっき。洞窟崩落した。って言った。実際崩落してた」
「?だからもう埋まっちゃったのでは?」
先程ここに来る前にアキアカネさんも言っていた。イベントの山場が終わったあとここに来た時には既に崩落していたという事実。
「おかしい」
ヒカリさんはそういうとまっすぐ崖を見つめた。私達もつられて崖を見るが特に変わった点は見当たらない。
「崩落した。跡。なくなってる」
「確かに!」
これにアキアカネさんは納得したようだ。私たちはその現場を見たわけじゃないから分からないけど、確かに言われてみれば崖がキレイ過ぎる。辺りに岩や土が崩れたような跡も見当たらない。
「言われてみれば!!」
「じゃあ〜とりあえず調べてみますか〜」
「前はここら辺に洞窟があったんですッ!?」
どうやら調べる必要も無いらしい。そう言いながら崖に手をついたアキアカネさんだがそのまますり抜けるように崖の向こう側にすり抜けていった。
「アキ?無事?」
「洞窟!ありました!!」
どうやら無事らしい。崖から首から上だけを突き出しこちらにアピールしてくれている。…なんか生首が崖に突き刺さってるように見えて怖いんだけど。
崖に触れてみると崖のように見えるだけでその先には何も無い。見えてるのに触ることが出来ない。おおー!
思い切って1歩踏み出すと中はゴツゴツした洞窟のようで…。洞窟と言ってもそこまで広いわけじゃない。
「こうなってくると戦闘も有り得るね〜。みんな警戒しながら進むように〜」
「「はーい!」」
「アインズにまだこんな場所が…初めて知りました」
この浮島の所有者であるリンさんも知らないここからはどうなってるか分からない未開の地だ。
『偽物の壁』
『わかるかそんなの』
『他にもこう言う場所あるのだろうか』
『バグみたいな見た目してんな』
「あ、ヒカリ先頭で」
「ん?なんで?」
「たぶんコケるでしょ?」
「…」
『ヒカリ否定出来ず』
『ただの悪口で草』
『ジャングルで無理ならまあ、無理でしょうね』
アキアカネさん。ヒカリさんにサラッと言ってるけど悪口だし、それを聞いて否定できないのかヒカリさんも無言で先頭を歩き始めた。
確かにこの洞窟も割とぬかるんでいたり凸凹している。さらにかなり急勾配で下っているため…うん。先頭を歩いてもらおう。
*
しばらく進む。この洞窟かなり深いところに来たと思うのだが未だ結晶洞窟は見えない。というかヒカリさんの進行スピードが遅い…
ついでに少し気温が下がっているのか息が白い。ゲームだから寒くは無いけど状態異常にならないか心配だ。
「前来た時より少し地形変わってる気がする〜」
「覚えてるの?」
「いや〜?前は真っ直ぐだったような気がするのに〜、今はたまに曲がってるから〜」
「結晶洞窟にたどり着けるのだろうか…」
ユキからの不安になる情報だが、どうやら目的地には着いたらしい。
「ついた」
「入口の場所変わりました?」
「「おおー!」」
「これは…絶景であります!!」
「…」
目の前に広がる結晶の数々。これまでと違い天井も横幅も比べ物にならないくらい広がった洞窟の至る所から極大サイズの結晶達がおで迎えしてくれていた。
『すげぇ!!』
『なにここ』
『こんなとこあったのか!』
『結晶デケェ』
『なんかところどころ木材見えるな』
『鉱山みたいな。人の手が入ってない?』
さらに進むと妙に開けた場所。その真ん中に白くてフワフワの塊が…
「侵入者かと思って構えたコケが…お主らだったコケ」
「あ、ニワタリ」
どういう訳か…。火星に置いてきたはずの鶏改め、ニワタリちゃんがそこにいたのだった。
「ん〜。デジャブ〜」
ユキだけ後ろで何か言ってた。
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