「なかなか景色は綺麗だよ?ヒカリ」
「ん。それは納得。幻想的」
2人の前に広がる世界は現実とはかけはなれた幻想的な光景。数々の大小からなる島々が空へ浮かび、ある島は紅葉生い茂り、ある島は滝のように水が滴り落ちている。さらに目立つのは一際大きな…。
「でかい木ぃ!!」
「アキ、とりあえずクエスト。進める」
いまだ辺りを見回しながらはしゃぐアキアカネを放置して、ヒカリは1人スタスタと今ふたりがいる浮島の木々がある方へ進んでいく。
「あ、ちょっと!待ってよ!まだスクショ取り切れてないのに!」
後を追うアキアカネを尻目に見ながらヒカリはクエスト内容を確認していた。
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イベントクエスト:空中都市の構築
クリア条件:空中都市を作り上げる
参加者:任意
報酬:空中都市の出現と永続的な都市獲得
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クエスト:資材を集めよう
クリア条件:資材の確保
参加者:全員
報酬:他プレイヤーとの合流、イベントクエスト進行、中央の島へのバリア解除
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(ん…。文面的に、クエストクリアまで。他の島への移動。無理そう?)
「アキ」
「なに?」
一考しながらヒカリはすぐに追いついてきたアキアカネに声をかける。
「今から少し。あそこに見える。島まで。飛べる?」
「おお!おまかせ!」
ヒカリは比較的近くの浮島を指し示し、アキアカネを実験体にして様子を伺う。
一方、アキアカネは自分が実験体にされているとは露ほども思っていない。ただなにかあるのだろうとは思っているが、それはヒカリが考えること。自分は指示されたことをこなせばなんとかなるだろう。と考えていた。
カコーン!!?
「ウギャ!?!?」
結果、無警戒に飛び立ったアキアカネは先程までいた浮島から一定の範囲で見えないバリアに激突する羽目になった。
そんな光景を見ながらヒカリは自分の考えが正しいだろうと確信する。
(クエストクリア。以外の道はひとまず。無い)
「この!?おりゃ!!」
アキアカネは未だに見えないバリアに攻撃をするが一向にビクともしないバリアに痺れを切らして、泣く泣く帰ってきた。
「無理…」
「知ってた」
呆気なくそう答えたヒカリを、知っててやらせたな!?とでも言わんばかりに睨む。
当の本人はもう既に木々に触れてみたりして色々探りを入れているようであった。
(資源回収。指定は無い。何を資源とする?)
クエストにはどの資源をどの程度という表記は無い。つまり、具体的に何が資源となり得るのかが分からない。
(都市構築。必要なもの。土、石、鉄、木材、石灰、水…。どうやって集める?)
石や鉄、木材ならばツールアイテムは持っているヒカリ。しかし、土地の整理やどうしても必要となる水などはどうやって手に入れるのか。どうやって運ぶのかが分からない。
「おおー!果物実ってるよ。これ食料になるよね?」
「ん。〔物品鑑定〕した。食べれる」
「おーー!ならいただきまーす!!あまぁ!!」
(食料、もいる)
このゲームは基本的に「食料」は必要としない。それはログイン地点を現在地にした場合。満腹度も回復するためである。それにほとんどのその満腹度も減らない。が、現在はイベントエリア。期間がどのくらいになるか分からないが、このままここにログインし続けるといずれ状態異常:空腹になるだろう。
なかなかに集めるものは多いと判断したヒカリは今も美味しそうに果物を頬張るアキアカネを見てこう言った。
「アキ、資源。とりあえず。拾えるもの全部。集める。よ」
「はーい」
❆
ユキの場合。
「ん〜。バトロア的なの期待してたのに〜」
このあと普通にクエストに従った。
●
ハルトの場合。
「素材…。新素材とかあるんじゃね?w」
結構喜んで素材集めを頑張った。なお、成果なし。
💧
アリアの場合。
「素材集め…。地味ですわ…」
普通に苦戦した。
📷
ビュアの場合。
「おおー!ここも!この角度も!動画映えですねぇ!!」
素材そっちのけでスクショ祭りしてた。
✈
ミカの場合。
「めんどくせえなぁ…。後々合流するなら炭でも作るか?」
森でキャンプファイヤーし始めた。炭は後に使うこととなる。
♛︎
アインズの場合。
「空だぁぁぁあ!!うべっ!?」
「なるほどです。バリアあるのです」
「…」
「ほら、しっかり集めますよ。素材」
「了解」
「りょ、了解…」
なかよしこよし六人衆。
💪
変わり種、ヴォーガードの場合。
「ん?バリアだと!!こんなもの叩き割ってくれるわ!!」
最終的にほんとに割って出た。
💣
キリアの場合。
「…♪」
ポイ
ドーーーンッ!
こやつもバリアを破壊した。
♡
シオリ、ユメキの場合。
「センパーイ!動物とかいましたー?」
「いや、おらへんな…」
そこそこまあまあ平和でした。
+
軍曹、ヒヒリーの場合。
「資源集めは基礎でありまーす!!ヒヒリーも!素早く集めるでありますよ!!」
「ちょっ…。なんでそんなにスイスイ進めるの!?うわっ!?」
ヒヒリーがコケた。
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