Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
D,S(diamond) D
D,S(diamond)

R 261.3  ほしの光 るナ すみ渡る晴れに浮かぶ

公開日時: 2022年9月16日(金) 16:16
文字数:2,005




 1人単身で鳥に挑むヒカリ。両腕が使えないが、持ち前の分析力で鳥行動と、光線の進行方向を読み切る。


 ヒカリ単身で突っ込んでいる間に、アキアカネは高度を上げ天井付近まで登ってきていた。



「ソナタ1人こっこ?さすがに無謀こっこ」


「無謀かどうか。終わってから決まること。私は私を信じてアキを待つ」


「なるほど。それはソナタの戦いこっこ。アキとやらが何をしているのか。気にはなるが、ソナタのその覚悟。瀕死にして攻撃手段を失ってなおも向かってくるソナタに敬意を表し。ソナタの相手をしようこっこ」



 繰り返し光線が放たれ、ヒカリは重い両腕を振り回しながらその光線が跋扈する地帯を抜けていく。反射を繰り返している光線はそれぞれ唐突に消えたり、現れたり、横凪に払われたり、速度も違う。

 その中を、抜けていくヒカリ。どこからどう見ても不可能なその密度の中を抜けていく様は、どこかナユカに似ているが、根本的な部分が違う。


 ナユカは花の約束の力による視界に写ったものを全て、弾幕ならその先にある軌道を見て、当たらない場所へと回避する。

 対してヒカリは1回目の光線。2回目の光線の反射。3回目の周りにある結晶の動き。その全てを覚えて予測している。


 子供の頃かと他の人とはかけ離れた記憶能力を持っていた。ヒカリだがらこそできる先読み。それがヒカリの強みだ。



「【五前年の拳B.C.old punishment】」



  ヒカリの拳がまたもや光だすが、その周りを覆う結晶のせいで拳は使えない。代わりに、ヒカリはその重い拳を上げ、シャドウボクシングでもするかのように、左拳を突き出す。すると、ヒカリの左後方から無数の弾幕が、飛び出し、鳥を襲う。咄嗟に躱すことが出来ない鳥はHPを少し削られた。



「うむ。いい攻撃こっこ[拳技に連動。殴るに出す。減速と停止]なんかも付いとるこっこ」


 ダメージを受けながらも、それでも余裕を崩さない鳥。ヒカリはさらに連続で拳を振り上げる。鳥も流石に連続で食らうのは不味いと思ったのか。一旦空中に飛び上がり、移動を開始する。



 一方の頃、その広場の天井付近にいるアキアカネは、至る所に〔魔法陣〕を設置していく。魔法陣自体の模様はシンプルなものばかりで、ほとんど同じ色。模様のため全て同じ魔法陣だ。


 そして、あらかた天井全体に魔法陣を敷き詰め終わると、アキアカネ自体はそのまま槍を下に向け詠唱を開始した。


「地を照らす天の神。その光を願う。夜を照らす闇の神。その魔を願う。光なら闇を。闇なら光を持って、ここを照らして見せよ!」




 アキアカネの詠唱。ヒカリは途端に攻撃をやめて、鳥からいきなり距離をとる。アキアカネのたぶん魔力回復薬も全て使用した全力の攻撃。見上げればおびただしいほどたくさん設置された魔法陣が怪しく光だす。

 そのままヒカリは結晶が入り乱れた端っこ付近に身を隠した。



「ほう?」




 対して鳥は上空を見つめ、獰猛な笑みを浮かべる。あの魔法陣の量を前にして笑っていられるほどまだ余裕があるのか。しかし、アキアカネのこれは予想以上にやばいことをヒカリは知っている。



「持つは槍1本のみ。向かうは強大な敵。その身を捧げ、その身を穿く」



「こい。小娘。いや、覚えたこっこ。アキアカネ。その攻撃。全力で受けてやる!」




 両者。目を見開き…。


「【天堕の槍Haroeris】」


「【金剛石diamond】」



 キラッ!と光る天井。次の瞬間、アキアカネの背後でとてつもない爆発が起こる。

 この爆風と一緒に猛スピードで下へ吹き飛ぶような降下をするアキアカネ。

 対する鳥は羽が白からプラチナのようになり、固くなった翼を自身の前でクロスに重ねて防御姿勢を取る。


 結果、2人はぶつかり、アキアカネはその槍を鳥に突き立て、鳥はその槍を翼で受け止める。が、鳥の翼は弾かれ、そのままアキアカネは鳥の胸を槍で突き通す…。

 が、羽に受け止められた衝撃で、威力はほとんど吸収されそのままではほとんど威力は無い。



「【打点撃ポイントIパンチ】」



「コケッ!?」


 だがしかし、いつの間にか、帰ってきていたヒカリがその槍目掛けてパンチを放つ。結晶がまとわりついているためかなりの重量な腕を振り回し、その槍の柄の部分にぶち当てた。


バキッ!!



 鳥の体にヒビが入りそのクリスタルが割れていく。


 鳥はかなりのHPを持っていかれ、その姿を元の鶏の姿に戻していった。



パキッ




「はっ、やばい!ヒカリ!逃げるよ!崩落するから」


 自身の爆発でその空洞は大ダメージを受けた。そのためもう少しすれば一気にこの空洞は上から押しつぶされるだろう。


「…アキ。出口なくなってる」


「うそっ!!!?」



「…ほんと」



 確かに来た道はいつの間にか結晶に覆われ、逃げ道は無い。




「いいこっこ。2人も試練合格こっこ。つかまるこつこよ!」


「え?あちょッ!?」


「ん!?」




 その人、スカイスクランブルで、突如大きな鶏と2人のプレイヤーが空高く舞い上がる。この後、のちにそれがきっかけで初の半公式プレイヤーの実況解説のオファーを受けることになるとは。2人は思ってもいなかった。



読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート