「ほれ!したの奴らを吹き飛ばすコッコ!」
「む、無茶ぶりですぅ!」
「MP、もう無い…」
はるか上空。前進しながらも空襲がごとく地面の猫型モンスターを遠距離から屠ることを強制されているアキアカネとヒカリ。
2人は弾幕を猫に叩きつけながら既に誰よりも最前線。その上空に位置していた。
「ほら浮いてきた猫どもも撃ち落とすコケ!」
「な、なんでさっきから…」
「「MP回復してる???」」
ニワトリの能力か?そう考察2人をするりと無視したニワトリはその大きな巨体から羽根のような弾幕を爆撃機のように投下していく。
それにより地表は地獄絵図さながらの大惨事だ。
さらにニワトリは自身の眷属たる鳥型モンスターを指揮し、その編隊軌道をとるモンスターたちは次々に猫モンスターを各個撃破して行った。鳥1羽1羽が戦闘機のように綺麗な編隊をなし飛んでいくその姿は、バラバラに攻めてくる猫、またはプレイヤーよりも練度という点ではるかに優れていた。これには味方のはずのプレイヤーもびっくりである。
それに合わせるようにアキアカネとヒカリも弾幕を叩きつけた。
「次は上に上がってきたコッコ。属性攻撃に注意するコッコ!」
2人と1羽の前に群がる空飛ぶ猫型モンスタ。その特徴的なのは背中に天使のような羽を携え、額に宝石のような、魔石のような、オーブのようにも見える何かを埋め込んでいるかのよう。
そんな猫「オリビエ」シリーズが行く手を阻む。
アキアカネが槍を取り出し、ヒカリはグローブを確かめるように両手に打ち付ける。
「ヒカリ!」
「ん」
お互い短く返事をしてその群れの中に突っ込んでいく2人。
「【槍雨線】!」
アキアカネが槍を真上に振りかざし、そのまま技を唱える。するとオリビエの群れの上空に魔弾で構成された槍型の弾幕が無数に出現、そのまま重力に従い落下していく。
「ニャ!?」
「ンニャッ!?」
その槍の雨は一つ一つが強力な攻撃力を有しており、さらに不可された貫通攻撃判定が被弾した猫を貫きさらにその下にいた猫ごと貫き落とす。
キラキラと粒子となって消えていった猫たち。もちろん群れのほんの一部であるが、一撃でも猫を消しさる威力の弾幕にオリビエシリーズは回避を強要される。
「ん、猫。HP低め、オリビエ・ルビー、オリビエ・エメラルド、オリビエ・オパール、オリビエ・コクヨウセキ。こいつら、属性攻撃してくる。わかりやすい名前」
そんな分析を挟みつつ、ヒカリも自身のグローブでその猫たちを殴り一撃で粒子にする。
オリビエ・ルビー=炎
オリビエ・エメラルド=風
オリビエ・オパール=水
オリビエ・オブシディアン=闇
と、わかりやすい名前とそれぞれのカラーリングにヒカリはそれぞれ火には水を闇には光をあて瞬殺していく。それぞれ属性に効き安い属性はさらに攻撃力が上がっているようであった。
他にも
オリビエ・アンバー=土
オリビエ・アメジスト=毒
オリビエ・ガーネット=爆発
オリビエ・クオーツ=無
オリビエ・トパーズ=雷
オリビエ・アレキサンドライト=?
などもヒカリたち目掛けて攻撃を飛ばしていく。
「おおー!いい手土産コッコ、そなたらの額にあるその宝石!全部エグってよこすコケ!結晶失ったから凹んでおったがこれで代用できるコケ!!!」
異様にその空間だけキラキラしているのはその猫のもつ宝石のおかげか…。光り物の大好きなニワトリは同じく目をキラッキラッに輝かせながら何かとんでもない要求を口走る。
「鳥…、宝石。モンスター。粒子、なって消える」
「ガーーーーン!?」
思わずはしゃぐニワトリに真実という名のボディブローをぶち込んだヒカリ。ニワトリはその言葉をモロに受けて大ダメージを受けた。もはや目の前にある餌、即そこにあるのに絶対に取得できないという地獄であると目に光るものを浮かべながらニワトリは攻撃をぶっぱなす!!!
「欲しぃーーーーー!!」
そのじゃじゃ馬のような行動で吹き飛んだ猫のモンスターは理不尽極まれないだろう。
「アイテム、として、インベントリに、ある…。あげてもいい」
「神かコケッ!!そうと決まればはやく殲滅してくるコケ!!」
「鬼畜か!?というかなんで私に命令してるんですか!自分でしてください!」
同じく宝石のようなものは好きなヒカリ。ニワトリへの同情からか自身のインベントリを確認しほんの少しなら分けてあげよう。というちょっとした行為が項を成したのか…。
「任せるコケ!スズネッ!!!」
ニワトリがなにかの名前を呼んだ途端。
「「ウニャーーー!?!?!?」」
いきなりスキルを使えなくなった猫達が一斉に重力に従い、真っ逆さまに落ちていった。
ニワトリと2人だけは何故か飛べている。猫は最後の足掻きか…、弾幕を2人目掛けて飛ばすも普通に躱されてしまった。
この似たような状況にヒカリとアキアカネは思い当たる節がある…。
「ご苦労コケ!面倒だからプレイヤーと鳥以外は飛べない結界、張り続けておくコッコ!」
「チューーーン!」
どこか遠くの方でした返事。可愛い鳴き声の元は果たして…。
「あ、スズネって確か大樹のボス?」
「ん」
2人ともその木の少し開けたところにいる大きなスズメに視線を向けた。スズネは器用に翼で手を振っていた…。
「「いや!できたんなら初めからしろよッ!この焼き鳥がッ!!」」
2人の罵倒は息ぴったりだったようである。
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