Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
D,S(diamond) D
D,S(diamond)

032  緊急クエスト:黒の試練

公開日時: 2021年12月24日(金) 16:00
文字数:2,071




「あまり…人前には出たくなかったのですがね…致し方ないか」


 ハルトがそう呼びかけてしばらく、何も無いところから新聞記者のような格好の女性が現れた。


 ナユカはちょっとだけ驚いた。ハルトが彼女に話しかけるまで何もなかったそこに人が現れたからだ。


 なに?透明化とかあるの?全く気が付かなかった…


「それで?なんで〔透明化〕なんて使っていたのですか?」


「面白そうなプレイヤーがいたのであわよくば勧誘しようかと。でも実力も何も知らないとさすがに不安が残るから後ろからつけさせて貰いました」


 アリアのといにそう悪びれもなく答えるビュア。


「とか言いながら、黒オーブを狙ってたって落ちじゃね?」


 ハルトはそうビュアを疑ってかかる。まあ確かにその〔透明化〕のスキルでこっそり脇を抜けてオーブをとることも可能だろう。そして今の状況はそう見えても仕方がない。自分の獲物を横取りされそうになったかもしれないハルトは少し怒り気味に、卑怯者を見るようなそんな目線をビュアに向けていた。


「ちなみに、あなたがおっしゃる通りなら、一体誰をストーカーしていたので?」


 アリアはそうビュアに問いかけると、どこからか持ち出した扇子で表情を悟られぬように口元を隠す。


「ストーカーとは人聞きの悪い!私は実力を見ていただけです!!」


「それをストーカーって言うんだよ?」 


 は!思わず突っ込んでしまった!!


「で?誰をつけてたんですの?」


 再度アリアはビュアに問いかける。







「ナユカさんですよ」


「私!?」


 うそーん。私ゲーム初めて初日にストーカーされてたよ。さっきから感じていた視線はこいつからかー!!まあ敵意はなかったっぽい?ならいいか…いやいいのか?


「マンションの窓にタックル決めようとしてカエルのようにへばりついて落下していく所ら辺からですね!」


「見てたんかい!!」


「何やってたのよ…」


 そんなに前からみてたの!?無駄にハイテンションな私がストーカー被害にあってましたー!!嬉しくないぞ!?


「あれ?でも私途中ログアウトしたよね?」


「はい、なのでまたログインしてきたあなたを見つけるのに苦労しましたよ?」


 うわぉー、ストーカーこわぁーい。


「なんでログインしたのわかったのさ?」


「そういうスキルも存在するんですよ」


 なんてこったい。今の時代に個人情報ダダ漏れとかこのゲーム大丈夫か?


「ログインした場所までは分かりませんけどね?なんで同じ場所にログインしてくれて助かりました。探すの楽で」


「ストーカーですわ…」


「通報していいかな?」


「いいんじゃね?」


 よーし通報ーー


「いやいやいや!!ちょっと待ってくださいよ!今イベント始まったばかりなんですからー!」


 私の平和のためだから仕方ないね!


「とりあえず自己紹介しねーか?アリアはわかるが他は知らないと後々困る。僕の名前はハルト。遠距離よりも近距離が得意かな」


「私はアリアと言いますわ。まあ、遠距離主体の魔法陣をよく使うわね」


「え?あ、次私ね!私はナユカ。初心者です。今日始めたばかり」



「「嘘!!?」」



 ほんとですよ?



「私はビュアと言います。普段は動画を投稿したりしてます。自分で言うのはなんですが結構知名度あるかと!」



「聞いたことありますわね」


「そうか?」


 そうアリアとハルトが反応する…私?そもそもそういったもの見ないからね。知ってるわけないじゃん!


「戦闘はスピードよりの属性攻撃が得意です」


「とりあえずこんなものか…」


「で?これからどうするですの?あと配分ですわね。もしイベントをクリアしても報酬が黒オーブ1個ならそこから更に戦闘ですわよ?そんな体力、戦闘後にお持ちで?」


 私も結構危ないんだよね…HPはあるけどMPが枯渇寸前だ。



「ないな。回復薬も少ないし、さっきの戦闘でだいぶHPが心もとない」


「私もまさか戦闘になるとは思ってませんでしたので…MPの方が残り3割ですね」


「私もー、ビュアちゃんより少ない…」


 ちょっとやばいかも、みんな全開じゃないのは辛い。私は回復薬なんてものも持ってないし…




「ギュオオオオオオオオオオオオオーーーー」




「どうやら待ってはくれなさそうですよ?」


 私たちの目の前にはいつの間にか、オーブの姿かたちもなく、そこから更に何かが構成されていた。

 それは次第に大きくなり異形の咆哮をあげる。


「これは、モンスターですわね?」


「あぁ、そうだね…しかもかなり大型のがお出ましだ…」


「いやー…これは動画映えしそうですね!!あ、皆さんこの戦闘動画配信していいですか?」


 私は何が何だかよく分からないよ!!モンスター?大型?配信!?アア…もう好きにしやがれ!!(諦め)


「モンスターなんて、空島イベントの時くらいだぞ?」


「私もですわ」


「…」


 そうしている間にもそれはどんどん大きくなっていき、そうして現れたのは全体的に黒1色。大きな翼を持ち。堅牢な鱗。鋭い目。牙。爪。角。


 黒龍のお出ましである。



「おいおいまじかw!!?」


「嘘ですわ…」


「いやー、動画実況してる暇無さそうだ〜♪」


「…」


 龍!!いきなり龍!?初人外戦闘龍!?私即死じゃね?


 こうして、ナユカ達4人は黒の試練に挑むのであった。


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート