月旅行。とは言ったものの実際にはそこまで私たちに時間の余裕は無い。真っ直ぐに目的地を目指すべくセカンドコロニーを目指さなくてはならない。
というかそもそも、セカンドコロニー内のどこに浮島があるのか不明なため探す時間も必要である。私たちが確保出来た時間的にひとめ見れればいい方なのかもしれない。
飛び立つ私達7人は月について詳しいであろう軍曹とヒヒリーに先導を頼む。2人とも月在住でセカンドコロニーが活動範囲なのだとか。
「ベースコロニーは人類が初めて月に入植した場所なのであります!!当時はまだ大気も形成されていなかったため街全体を大きなシェルターで囲い空気を満たしたであります!!」
「その名残がこの地名と街の中心から円形に街が拡がっているだー!」
軍曹はハキハキとしたいつも通りの口調。そういえば私はあまり関わったことの無いヒヒリーさんは間延び口調。ただしユキは「だよ〜」「だね〜」と割と分かりやすく伸びているのに対して。ヒヒリーさんは少し訛っているようにトーンが下がるのが特徴だ。
あ、ちなみに間延び口調仲間のママはマイペース過ぎてああなっているだけなのでこれもまた違った感じに聞こえる。
「ベースコロニーとセカンドコロニーの違いはあるのですか?」
「あるよー。んーとぉ、ベースがリッチ嗜好。セカンドが自然大事にーって感じー」
補足説明によるとベースコロニーはとても高い建物や高級な雰囲気溢れる物に満ちている。そこまで広くも無い円形都市でかなり立体的な構造のよう。
セカンドコロニーは広大な範囲を持つ。そして自然豊かで四方に春夏秋冬をそれぞれ保持する。一般的な居住区画でもあるため人口が多い。
現在位置のベースコロニーは確かに回りを見ればどこもかしこも豪華な創りで建物の装飾が細かい。そして上を見あげても建物で空はほぼ見えない。
「セカンドまで一直線に行くなら少し下層に降りないとであります!」
「え、ここ地面じゃないんですか?」
「まだ下よぉー」
どうやら私たちが今進んでいる場所も地球で言う中速階層にあたる位置らしい。
建物が多いので視界が通らない。つまりこのベースコロニーは奇襲が怖いということ。不意な弾幕が飛んでくるかもしれないのはちょっと怖い。
でも建物が多いのは悪いことだけじゃなく〔ジャンプ〕も強化される。壁起点の〔ジャンプ〕はMP消費がない。
さらに風が吹きにくいのでユキのプレイスタイルにもプラスだ。
あれ?もしかして地球より月の方が私たち強いんじゃね?
とりあえず順調。変なプレイヤーに絡まれることも無く進んでいく。
「ここから中速階層、快速通路であります!!」
快速通路?ナニソレ?
「地球にはないのですー?」
「ないですね。上空が開けてるので必要ないのです」
「ほへぇー」
ちなみに後で聞いてみると、入り組んでる月のベースコロニーでスムーズに車移動するための専用の空間らしい。確かに。これだけ入り組んでたらそういうスペースあるのもうなずける。
実際に通路は真っ直ぐで障害物もなくスムーズに進めた。
「もうすぐセカンドベースであります!!」
そう言う軍曹。通路の先が少しだけ開けてくる。段々と隙間が見え始め抜けた先には…
「おおー!」
先程とは一転!建物郡から飛び出し現れたのは壮大な平原と…
「う、浮いてる!」
「あ、あれ?おかしいでありますな?つい先程までセカンド中央付近にいるという情報だったのでありますが…」
「これは…」
「ん。久しぶり」
全速力でベースコロニーを突き進んだ私たち。高い建物を抜け広がる大空。そしてセカンドコロニーに着いた私たちの前には大迫力の浮島郡が出迎えてくれていた。
ー
浮島
アインズ所有エリア
自走移動可能
大規模戦闘システム配備
エネルギータンク有り
ー
読み終わったら、ポイントを付けましょう!