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T079  雪山に光る炎

公開日時: 2022年2月23日(水) 20:01
文字数:2,223



 辺り一面が白に染まり、山ができたと思えばそこから岩肌が覗いていたり、地面からニョキっと木が生えてきていたりと、もう闘技場という中で行われるレベルの戦いでは無い。


 ユキにとって圧倒的に有利なこんな状況にハルトは1人立ち向かう。


「いっそ燃やすか?」


 現在ハルトがいるのは木々が生えている林のようになっている場所である。実際の林とは大きさはたかがしれているがそれでも弾幕の遮蔽物や風よけになるのである。


(上はずっと吹雪いてやがる…これは上に上がって〔魔法陣〕を探すのは無理か。ちくしょう!こんだけでかかったらどっかにでかそうな〔魔法陣〕があるだろう!?視界が悪い…。どこだ?〔魔法陣〕を隠すならどこに隠す?)


 ハルトが探している〔魔法陣〕は言わずもがな【既に私の吹雪の中なのだから】の〔魔法陣〕。


 この雪山を作るにあたり、又は維持するにあたり必要なものであり、そしてわざわざ〔詠唱〕までして作り上げた「技」である。アリアの津波よりは小さいだろうがかなりの大きさの魔法陣があるであろうと予測できる。


「うぉぅ!!?」


 ハルトに向け放たれた氷弾は全くの視覚外から飛んで来たものである。それを咄嗟に木々を使い防ぐが少しダメージを食らってしまった。


(向こうは見えてるのな…あー、やりずらい…)


「燃えろ!」


 ハルトが唱えるとその手に持った黒き剣がゴウゴウと炎をあげる。その熱量は味方以外の全てを近付いただけでダメージを与えてしまうほどだ。


「これ使うの初めてだから燃えすぎても怒るなよ?」


 そう言いながらその剣を横に一振。そしてゴウッと音を立てながら吹き出した炎はさらに辺りを焼き払う。その付近の雪は溶け、木は燃えだした。


 それと同時にユキは氷弾をハルトに飛ばす。その氷弾は熱で溶けて途中失速。そのままハルトの手前で地面に落ちる。


「フフフッ!なかなか…」


 当たらないと悟ったユキはそのままさらに弾幕を放つ。


 今度は山なりに真上から曲がって落ちるように仕向けられた氷弾はまた途中で溶けてしまうが、今度はハルト目掛けて水となっな氷弾が落下していく。


「つっ!!?」


 思いっきり水を被ったハルト。途端に戦慄する。今自分はこの寒さの中に水を浴びてしまったという事実に。


(おいおい!そっちが狙いかよ!?)


 そして次の瞬間今度は真横から来る風弾に吹き飛ばされる。


ガキッギギギギギー…


 吹き飛ばされながら剣を地面に突き立て止まる。すぐに剣を抜き今度は剣をその方角に一振。そこからとびだすは、炎の斬撃!雪を溶かしながら飛んでいきユキを掠めて飛んでいく。


(危ないな〜。ちょっと熱ダメージ貰っちゃったし…、せっかく濡らしたのにあの剣持ってたら目に見える速さで水が蒸発していくし〜)


 そのままさらに火炎弾を放つハルトはユキの方に散らばるように弾幕を放つ。それをユキは見逃さない。同じく氷弾で撃ち落としていく。


「とれッ!」


 ユキの可愛らしい掛け声とともに揺れ動く地面。既に飛び立っているハルトにダメージはないが…


メキメキメキメキ…


「うわっ!そんなことも出来んのかよ!!」


 途端に燃えていた木々がデタラメに倒れだした。ある程度低空でないとさすがに上空の吹雪には負けてしまう。そんな理由で低空飛行していたハルトは自分に倒れ込むように燃える木々が迫っていた。


 ユキの方に飛行しながらそれらを躱し、さらにユキから飛ばされる弾幕を躱すためにジグザグに飛ぶ。しかし飛び出した先には自分に倒れてくる燃えた木が目前と迫ってきていた。



 「ふんっ!!」



 それを縦に真っ二つに切り裂きそのまま突き進むハルト。ユキはユキ山となっている方へ向かい標高をあげていく。


 少しでも下にいたいハルトにしたら負いたくは無いがここで追わないと見失う可能性が高いためあえて敵陣に飛び込む。少し上に高度をあげただけでまた寒さが勝ってしまうが致し方ない。


 ここに来てユキが更なる弾幕を放つ。それはデタラメに曲がったり加速したりする「火弾」であった。


(火!?)


 そのいくつかはそのまま雪山の斜面に落ちる。





パキッパンッ!…ゴゴゴゴゴゴゴ






(やべっ!?これが狙いで火弾か!!)


 ハルトの目の前には大きな音を立てながらずり落ちて来る雪崩が迫ってきた。できるだけ低空を意識していたハルトは今から上に〔飛翔〕したとしても間に合わない。


「ッ!いけ!!【剣ノ名ヲ持チ表ス・黒龍「煉」】」


 剣を前に突き出しSPとMPを大量に消費してできるその技はかつてハルトがぶった切った黒龍のブレス。一直線に雪崩ごとユキを狙って放たれたブレスに、雪崩が邪魔で見えてなかったユキにぶち当たる。


「っつ〜…」


 直前でできるだけ横に飛んだユキは余波をもろにくらいHPをわずか2割まで削っていた。


「痛い…。油断した」


 対するハルトも無事…とは言いがたく。雪崩の直撃は防げたものの、無理な体勢からの「黒龍のブレス」を放ったことで後ろに吹き飛ばされ、後ろに倒れ積み重なっていた木に突撃し少なくないダメージを受けていた。そして…


「いい攻撃だったよ〜。またやろうね〜?」


 状態異常:気絶に陥っていたハルトはユキの氷弾に最後のHPを削り取られる。


 今ここに、今までの常識をぶち壊しまくった2人の試合が決着した。


ユキ

HP

├─╂───────────┤

MP

├────╂────────┤

WP

├───╂─────────┤521%


ハルト

HP

┠─────────────┤

MP

├╂────────────┤

SP

├──╂──────────┤

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