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"296"  ゲームはプレイヤーを置いて進みゆく

公開日時: 2023年4月3日(月) 02:47
文字数:2,115



 時は遡り3日目6:18。原因不明の鳴き声。ある意味何が鳴いているのかはわかるのだが、ことこのイベント中に聞こえてきたからには何かしらの要因があるに違いない。

 さらに立て続けに消失した街づくり用の資源。この行方を早急に突き止めなければ作業も止まってしまっていた。



「リン。どうするんだ?」


「これでは作業も進みませんし戦闘できるプレイヤーを資源探索にあてましょう。何か変わったことがあったらすぐ私に伝えるように頼んでください。…シリウス」


「なにー?」


「あなたは今回も別行動です。マップに変化がないか再度詳しく見てきてください」


「おおー!また飛んできたらいいんだね!行って来るっー!!」


 指示があれば速攻で飛んでいくシリウス。そんな反応にもはや誰も突っ込まずほかのメンバーもリンの指示を待つ。


「レン。なにか情報はありますか?」


「セリエルが言うにはモンスターの行動が怪しいらしいな。猫はプレイヤーを見かけたら積極的に襲う。鳥は大樹に侵入したりこちらから攻撃したら襲う。鼠とかは見かけたら逃げてくらしい」



 後にCSF同盟のインフォメーションコーポリーダーのセリエル。彼はこの時から情報収集家であった。

 またこの情報収集網が後のコーポメンバーだったりする。


「資源を盗んだ可能性があるのはどのモンスターか検討がつきますか?」


「鳥では無さそうだ。…というか街に近づいてきていたらたぶんわかる。そういうの得意そうなのってネズミか?」


 レンは考えながら回答する。鳥は何かを盗むような感じはしない。猫はやりそう。ネズミに至っては何かを盗むのはかなり得意そうだ。



「ではネズミ私たちはで追ってみましょうか」




 レンは街に残り生産職のプレイヤーをまとめるため奮闘する。その他リン、ダイチ、サナタリア、シズカは街から出てネズミの目撃情報がいちばん多い方面へと向かった。





 そう、この時大多数の戦闘メインのプレイヤーが、タイミング悪く街から離れていってしまったのである。

 そのため、一部方向のプレイヤー以外の対応が遅れてしまった。






📷






(鳥?…行先は…。街方面ですか!?なかなか嫌な予感ですね…。先程の鳴き声といいなにか動き出したのは確実でしょう。となるとあれは撃破した方がいい…。数が多すぎますね…)



 飛行阻害の結界が張られているジャングルから見あげるのは、我らがストーk…。ビュアだ。

 彼女はその浮島のあらゆる場所をその目で見てやはり何かしらモンスターの行動がこのイベントの鍵になることを確信したようだ。

 そのため、その鳥の群れ。…いや、群行をいち早く異常事態として捉えることに成功した。

 現在飛行不可能なためビュアは全速力でジャングルを駆け抜ける。


(こんなことならいち早く大樹の上にいるらしい雀を倒しておくべきでした!)


 ビュアはそんなことを考えながらも自身の連絡出来るプレイヤーにその異常事態を知らせていく。


 が、時刻は早朝。ビュアのいる中央闘技場圏内のプレイヤーはほとんどログインしていない。


 同時に生配信を開始するも、この頃のビュアは無名。全く接続者はいない。

 結局、この状況を打開できる案も見つからずただ鳥たちの進行方向。街を目指す。



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緊急クエスト:襲われる作りかけの都


クリア条件:鳥たちの攻撃を防御せよ

参加者:街にいるプレイヤー

報酬:鳥達の沈静化

特別報酬:?


街壊滅度 0%



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 あっという間に追い抜かれてしまったビュア。彼女は走るも鳥たちは街への攻撃を開始したのかみるみるうちに壊滅度は増えていく。ビュアは必死に走ることしか出来なかった。








「とりあえず全員迎撃を、魔弾だけでも上空に飛ばして鳥を撃墜しましょう」



 その頃街は突然の鳥の大群に驚き、急ぎ迎撃を始めようとしていた。だが、ちょうど少し前に戦闘が得意なプレイヤーは、盗まれた資源を探しに街を離れたばかり、できうる限り連絡し急遽帰還してもらうも時間がかかる。


「何かそれらしい情報は?」


「あなたは…、サーニャさん。でしたか?」



 生産職を戦闘に差し向けながら街の上空に現れた鳥の群れを見上げるその人。セリエル。そしてそんな彼に話しかけたサーニャ。

 後にCSF同盟で各組織のリーダーとなるふたりが初めて邂逅した。


「そうよ?よくこんな私の事まで情報集めたわね?」


「情報収集が趣味みたいなものですので。記憶には自信がありますよ。それで、情報でしたか。私が知る限り知らないモンスターですね。先程の大きな鳴き声の影響かも定かではありません」


「まだよく分からないって事ね。クエストどおり街が壊されたらダメってことくらいか」


「今街に強いプレイヤーがあまりいないので…。…なんでいるんです?」



 そう今戦えるプレイヤーは全員消えた資源を探すため浮島全土に散らばっている。そしてセリエルの持つ情報では、ありとあらゆる場所を探検していく彼女が未だにここにいることがおかしいことに気づいた。



「フレンドと話してたんだけど。ほかの場所よりこの街が1番「おかしい」って結論が出たわ。だから私達はここで色々してたわけね。正解だったり?」



 今度から彼女からも情報を集めてみようとセリエルは密かに誓った。

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