「ところで気になったのですが…アリアさんってあのエリアルナ家の方ですか?」
「ええそうですわ。でも何の変哲もない普通の家庭ですわよ?」
乾杯も終わり再び会場に来た人々はそれぞれ会話を弾ませている。
「はわぁー!握手してもらっていいでありますか!?」
なんかアリアさんとがっしり握手しつつ元気になった軍曹。あ、口調もゲームに戻った。
「あ?こいつそんなに有名人だったか?w」
「いつも家に出入りしているくせにほんとに何も知らないですの!?…はっ!?」
今なんかとんでもないこと聞こえた気がする…。2人ってもうやっぱり付き合ってるよね!?これで付き合ってないとかないと思うんだけど?
なんかリリースのみんなそんな目で2人のこと見てるよ?私ももうとりあえず爆散って言っとこうかな?
「ち、違いますわッ!何故か家の警備ロボットがこいつをツマミ出さないからッ!!」
「?」
なんか赤くなりながら必死の否定…というか何言ってるのか分からないことを言い出した。なんか少しだけ嫉妬よりも可愛いものを見た気がする。
なんかいいなぁ〜と思わなくもない。でも男の子でそこまで関わりが強いひとってハルトさんくらいで他に居ないのも事実だ。
誰かこう…運命的な?或いは白馬の王子様的な人いないかな?でもそういう感情を感じたこともない…
あれ…なんか最近王子様なら見た気がする…
気にしないでおこう。もうたぶん殆ど関わらないと思うし。彼はそもそも故郷に帰ることが目標だろうからノーカンだ。
「那由花ー。やっぱりまだ少しきついかしら?」
私の様子を見て勘違いしたのか、ママがサッと寄ってきた。
「いやいや、ユキもすぐ近くにいるしそこまで抵抗無いよ。さっきの乾杯に比べればはるかに視線は感じないし」
「そう。ならいいのだけどー」
よく考えてみたら、私はどうやらリアルでももうそこまで過去の傷は痛まないらしい。前まではユキとパパ、ママ以外の人とは会いたくもなかったのだけど…
ユキのおかげだね…。もう見知らぬ人がいても恐怖を感じることもない。あ、でもこれからもそばにいてね。
そんなことを考えながらほんの少しだけユキから少し離れると…
「あ、ちょっと〜。離れないでよ〜」
「あそこのモモのスイーツが美味しそうなのー!!」
秒でユキに察知された。
「私も行くから行きたい場所あるなら言ってね〜」
「はーい」
私が返事をしながらモモのスイーツを取りに行こうとする。が今度はしっかりとユキに手を握られ逃がさん!とばかりにユキはその手を離さない。
…
「なんか子供みたいで恥ずかしいんだけど?」
「仕方ないよね〜。目を離すとたぶん迷子になるでしょ〜?」
「…そんなこと無いよ!」
「化粧室の方角は〜?」
…
「あっち」
「こっちね?」
…
ほら見ろと言わんばかりの視線が突き刺さる。いや、だってこの会場広いし!私そこまで普段迷子にはならないよ!!
結局、この後もずっと手を握られたまま私は美味しい食べ物を探して練り歩く。モモが美味しすぎるのが悪いっ!
「あ、ナユカさん」
?
聞き覚えのある声に振り向くと…
「あ、リンさんだ!」
「リアルでは初めましてですね」
「やっほ〜」
リンさんだけでなくアインズメンバーもみんないるようだ。それぞれゲームとの髪型や色の差異はあるものの誰が誰だかわかる程度には一緒だ。
「一応自己紹介しときます?」
「そだね〜」
自己紹介。少し長くなったので概要だけ。
まずはリンさん。本名は リン・ベイカー。月在住。彼女はゲームだと巫女服のイメージ似合わせているためか髪色を茶髪のサラサラロングヘアにしていて少し内巻きなのだが、リアルだと赤と赤茶色の2色混合のサラサラロングヘアだ。ゲームの方が落ち着いているように見える。ちなみに私と同い歳だった。全然お姉さんに見える…
次にレンさん。本名はレン・ベイカー。月在住。苗字の通りリンさんの弟さんだったらしい。こちらはゲームでは黒髪だが、リアルだと赤毛でこちらもゲームの方が落ち着いて見える。あ、そして分かりやすく違う点は身長でリアルの彼はかなり背が低い…というかそれもそのはず、12歳だとは思ってもみなかった。
今度はダイチさん。彼の本名は ダイチ・モリモト。月在住で27歳の大人な人だった。ゲームだとかなり体格がでかいがこちらではほんの少しだけ小さく見える…装備の違いかな?タキシードをビシッと着こなしているためかもしれない。彼のゲーム内ヘアカラーは灰色だがリアルでは銀髪であった。
次はサナタリアさん。本名は サラステラー・エルガレリム。彼女は唯一月在住だが出身が宇宙都市群らしい。ゲームの緑髪、茶色い瞳はリアルでは金髪、エメラルドグリーンの瞳であった。彼女も私より小柄で歳は14歳らしい。なんか私よりしっかりしてそうなんだけど?
で、最後…
居ないね?
リンさんいわく、シリウスさんが同じ場所にとどまっている方が異常だとの事。ちなみにシリウスさん。レンさんよりも年下の11歳らしい。なんか納得したかも?
私たちは今日何度目かの自己紹介を終へ、とりあえず親睦を深めようということになったのだった。
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