Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
D,S(diamond) D
D,S(diamond)

F085  This is a memory of one day.

公開日時: 2022年2月28日(月) 18:15
文字数:2,097




「初めまして!!私〜ゆきッ!これからよろしくね〜!」


「う、うん。よろしく…」


 まだこの頃のユキは、今よりもわんぱくな女の子だったっけ?


 目の前に立つ少女は8才の時のユキ…だと思う。初めて会ったのは確かそのくらいのはずだから。



「君の名前は〜!!」


「私…なゆか。よねじまなゆか」


「おっけ〜!なゆかちゃんだねッ!あっちに行って一緒に遊ぼうよ〜!!」


 そう言って私の腕を強引に掴んで引っ張っていく。というかここどこだっけ?


 周りには豪華な料理が高いテーブルの上に並び。周りにはドレスやタキシードなどの大人達ばかりだ。それにユキも幼い体に合わせて作られたカワイイドレスを見にまとっている。

 よく見たら私も当時のサイズにあったドレスをきて可愛く着飾っていた。


 懐かしいなぁー。これユキと初めて会った時の夢だよ。自分が夢見てるってはっきりわかるんだね?明晰夢ってやつかな?ニコニコ笑いながら遊んでいるユキと少し戸惑いながらもその子の遊びというものを体験する私。


 あ、意識はあるけど体の自由が効かないね。勝手に当時の私をトレースしちゃってるよ。


 その頃の私は人付き合いなんてなかったから、随分とオドオドしてるけど今にして思えば仕方ないよね?敷地外に出たこともなかったんだから。


 その日は、初めて外に出て。初めて敷地外の人に会って。初めてパーティーなんてとこに行ったんだから仕方ないよ。なんのパーティーだっけ?これ。まあ、それはともかくこの時の私は、一気に色んな情報を取り込んでむしろオドオド程度で済んだことを褒めて欲しいくらいだ。普通の子なら泣いてるんじゃない?


 パーティーの途中でパパは同じ偉そうな人と話しながらどこか行っちゃうし、ママはママで色んな食べ物を取りにどっか行っちゃうし。危うく迷子になりかけた私にユキが話しかけていたんだっけ。









そのまままた腕を掴まれて…








「なゆかッ!逃げるよ!」


「う、うん!」


 あれ?一気に景色が変わった?この景色はあの時の…

 強引に腕を掴まれて引っ張られていく私。そしてその犯人はさっきよりも少し大きくなったユキ。走っているのはパーティー会場なんかじゃなくて。


ビーーーーー。ビーーーーー。


 うるさく耳に響く警告音と至る所で赤いランプが天井から飛び出しくるくると回っている見慣れた廊下。


 パツゥン。パツゥン


 私のすぐ後ろで鳴る銃声がユキの持っていた要人警護用のバリアに遮られる音。


 あぁ、これ昼間のせいだね。


 もちろん先程と同じように体の自由は効かない。声も出せない。「あの時」の再現。


 走って何かから逃げる私たちの後ろから徐々に近ずいてくる足音。私の顔はきっとこの時恐怖に歪んでいただろう。


「くっ!追いつかれる…なら」


 途端に進路を変え廊下からひとつの部屋に入るユキと私。ここは制御室。この先は何も無く行き止まりだ。


「やっと追い詰めたぜ…大人しく言うことを聞きな!じゃないと小さいからって容赦はしないぜ?」


「命令は誘拐だ。痛めつけるなよ」


「わーってるよッ!」


 入口を武装した男2人に塞がれもう逃げ場はない。その時の私はなんでこんなことに?なんて考えてユキに引っ付いていることしか出来なかった。


 ユキを握っている手に自然と力が入る。それを察知していたユキはその手をはなし、別のものを私に渡す。


「これはなゆかを護ってくれるよ〜!だから…しっかり持っててね?」


「え?まっ!?」


 そう言ってユキはバリアなしで男達に向かっていく。銃口から出る弾丸はあとから麻酔弾(ポインタテレバレット式非殺傷麻酔薬)であったらしいと聞いたがそんなこと知らない当時の私はそんな無謀なユキの行動に理解が追いついていなかった。


 パッパッ!!!


 そんな音がユキに向かって放たれる。未だに動けない私はただただユキが撃たれたと感じたが、即座にそうでは無いことを目撃した。


 相手の持っている。銃口を見てトリガーに注目していたユキはその瞬間に大きく横に避けたのである。子供だと油断し放った麻酔弾は躱されそのすきに近ずいたユキが1人の男の銃をするりと奪いそいつに発砲。即座にその男を盾にしてもう1人の男の弾丸を防御。盾にした男の後ろからもう一度発砲しもちろう1人を仕留めた。




「よし!」


 そのまま倒れた男達を部屋の外に引き摺り出し。部屋のよく分からない機械をいじって外からあかないようにしたユキ。


「もう大丈夫だよ〜。あとは助けが来るからそれまでここで隠れてようね」


 そう私に振り返って言ったユキはよく見ると震えていて、でもその時の私はそんなこと気付かずにユキに嗚咽を漏らしながら抱きついたのだった。


 その時の私はユキのことなんて気にしている余裕がないくらい怖さで泣いていたのだけど。後でその事に気づいたんだ。


 ユキだって怖いのに私のために我慢してくれていたんだ。やっぱりユキは昔から強かったんだね。


 その後、無事助けられた二人を見てパパはとても泣いていた。ママは優しく二人とも抱きしめてくれてそのまま私は緊張から解かれ他と同時に眠りに落ちた。

 目が覚めると、ユキが私に抱きつきながら寝ていた。







 もし、ユキに何かあったら、今度は私も君のために動けるのかな?








「F」lashback

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート