Reality barrage Gamers

初心者がゲームの常識をひっくり返す...無自覚に?
D,S(diamond) D
D,S(diamond)

EC:172  目の前は真っ黒

公開日時: 2022年5月29日(日) 10:52
文字数:2,015


『ひとまずシルエットは来なくなったね?』


『油断はダメだよ〜?』


『ユキ様の言う通りです。敵に侵入がバレている以上、また新たな敵に注意してください』



 別に油断してるわけじゃないんだけどね?



『ナユカはMPそろそろきついでしょ〜?敵が来る前に回復薬飲んどきなよ〜?』


『節約したいけど…。確かに飲んどいた方がいいね』



 MPは戦闘には欠かせない。万が一にでも戦闘中にMP切れになったら最悪だ。飲めるうちに飲むほうがいい。


 それに戦闘以外にもMPは使う機会が多い。それを避けるためにユキも私もわざわざ手動で〔装備〕を使って戦闘用の服に着替えたほどなのだ。ユキなんかは特に【私と一緒に踊りましょう】を使えない。あれは同時に色んなバフを自身に付与するためその維持にもMPが消費される。移動優先だとそれは得策とは言えないのだ。


 私たちが今〔飛行〕を使っているのはできるだけ急ぎたいため、仕方なくMPを消費してまで速度の出る〔飛行〕を使っているにほかならない。



 とりあえず私は中級魔力回復薬と下級回復薬を飲み、HPとMPをある程度回復薬させる。


 だいぶ回復したね。でも闘技場周辺はさらにモンスターや先程のシルエットも増えるであろう。目的地がそこなので敵の防御も分厚くなるに違いない。



 あまり余裕は無いのだ。




 そしてしばらくすると、またユキからプレイヤーシルエットと思われる反応をキャッチしたことを告げられる。あー!もう!多いって!!



『数が多いな〜…。しかもさっきよりもはるかに多いよ〜』


『ちなみにいかほど?』




『200以上』


「200っ!?」


『闘技場のセーフティエリアを取り囲むようにいるね〜』



 なんてこった。そんな数倒せるほど余裕は無いよ!?



『ちなみにセーフティエリアに入ったら敵は入って来れないとか?』


 唯一の希望的観測をユキに尋ねてみるが…。


『残念。中にもプレイヤーの反応がうじゃうじゃいるよ〜』


『うそーん…』


 あっさりとその返答に打ち砕かれた希望的観測。誰かタスケテ。


 そんな願いも乏しく。すぐに見えてきたプレイヤーシルエット。向こうもこちらに気付いたみたいだ。


『行くよ〜!!』


『やるしかないもんね…』


 両者接近しながら戦闘態勢に入っていく。


 私は再び集中してシルエット全体を視界に収めた。




 多方面から嵐のように、あるいは正確に狙いを定めた弾幕が津波のように押し寄せる。ユキはそのまま弾幕を自身を取り囲むように展開し盾として活用し、どんどんシルエットに近接攻撃を仕掛けていく。


 対して私は何もせず、念の為に〔防御〕(SP消費)をかけながら全ての弾幕を躱して行く。

 一見逃げ場がないような弾幕でも、空いた隙間を見つけて。あるいは先読みしてそこに滑り込んでいく。


 時には〔ジャンプ〕や〔スーパーアクセル〕を使用し、縦横無尽に駆け巡りながら水弾をシルエットにぶち当てていく。



 私たちの戦いはさらに激化していくのだった。









*





「トビィ。ナビィの進捗はどうなっている?」


『現在、ナユカ様とユキ様両者共に目標ポイントまでの距離80%に達しています。ですが2人とも敵からの妨害にあっているため進行速度が徐々に低下中です』



「そうか…。援軍の件はどうなっている?」


『メンバーのログインは1名を覗き成功予定。もう少しで達成します。もう1名は家に居なかったとのこと』



「そうか…。では次だ。ナビィの解析は進んでいるか?」


『こちらも難航しています。「RBG」の強制起動とおふたりのデータ保護。自身のハッキング防止でほとんど手一杯だそうです。一応、細かい情報は読み解いているようですが、敵からの攻撃が激しいとのこと』



「やはりマザーに直接合わないと手の施しようがないか…。済まない…。ナユカ…。君に頼るようで」


『でもいい知らせもございます』


「…なんだ?」



『他の惑星圏からの援軍がこちらに向かって発艦したそうです。順番に月、火星、都市郡、木星から地球の上空よりログインするように手配しています。また緊急事態のためにその他軍艦がそれぞれの護衛をしているとの事』


「そうか!どれくらいで一陣は到着する?」


『一、二。合わせて約200名が招集に応じたそうです。ある程度の事情は知っている状態との事。またユキ様やナユカ様。メンバーと面識のあるプレイヤーは招集に積極的だったようです』


「それは頼もしいな。…ナユカに面識のあるプレイヤーって月にいるのか?」


『闘技大会とかで一応の接点があります』


「なるほど。花恋の進捗はどうだ?」


『侵入には成功したそうです。しかし、外部からはやはりマザーへの接触はほぼ不可能との事。その場でアクセスしてみると現在奮闘中です』


「わかった…。俺も頑張るとしよう…。トビィ!」


『はい』


「軍艦の位置や個数は表示できるか?」



『可能です』


「ではそれを展開してくれ」


『了解しました。…展開開始』







「よし。これから指示を飛ばす。各艦へ伝達してくれ。くれぐれも油断するなと。前と後ろを見るように言ってくれ」


『了解しました』

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