「次にですが、トワイス国とローズディア公国において集団政略結婚があります。
両国の基盤を盤石にするためというのが名目であるのですが、私はここで公女の次に位の高い令嬢と
なります。
そのときにもローズディア公国より王室へとお誘いがあるのですが、ここは、もうすでに出会って
いる『例え政略結婚だとしても、ジョージア様と添い遂げたいのです! 』とでも言って私が断ります。
それで、決まったばかりで婚約を公表していなかったジョージア様に公から直々に婚約するよう命令が
下りますから」
やっとジョージアをソフィアから、横取りする話が出てきたので、三人ともが納得……?している。
所詮、公族からの命令と公表前だったので先に公に婚約決められちゃったら、断れないよって話だね……と。
「確かに、銀髪の君は、押しに弱そうだね……?ソフィアのことと言い。
最上位の公から言われたら、有無も言わず、頷きそう……だよなぁ」
兄にはそう言われてしまったが、ここで一つ誤解をといておいてあげよう。
ジョージアを今から落とすのだから、少しぐらいは、株も上げておかないと……
「お兄様、それは違います。
ジョージア様は、大人しい雰囲気の優しそうですが、お兄様と違って領地運営も
努力している上に苦手なことも頑張ってできるちゃんとした人ですよ。
それに、公の打診に喜んだ両親より先に本人がきちんと私を望んでくれたのですから……」
顔見知りの兄からすれば、信じられないなという言葉が出てくる。
素の私とジョージアは、全く真逆の存在なのだ。
「それって、アンナの外見に騙されてないか?」
兄にものすごくひどい扱いをされてないか?と思うのだけど……隣にいるから、睨むこともできない。
「失礼ですよ! ! 私だって、中身もきちんと磨いています! !
それに、学園での私も知っているので、猫かぶりなところばかりで選ばれていませんよ!」
口では勝てないとばかりに降参のポーズをとる兄を私はわざわざ横を睨む。
「それで、私は1年は向こうで花嫁修業をして、公爵夫人としての教養をつけるようです。
まぁ、主に広大な領地運営を公爵一人では賄えないので二人で知恵をしぼるための訓練でした。
1年後結婚し、翌年に子供が生まれます。
私の子供はこの子だけ。名前は伏せておきます。
この子を産むこと、10歳まで育てることが私の使命です。
容姿は言っておきますね。ジョージア様の生き写し。
もうそれは見事に、私の要素は見た目に一つも混ざってません。
お兄様の言う銀髪の君そのものです!」
兄はあんぐりしている……
「それは、男にしても女にしても相当な美貌の持ち主だな……
そんな二人と暮らすとなるとアンナはかなり見劣りして、毎日鏡の前で泣かないといけなく
なるんじゃないのか……?」
また、なんか、失礼なこと言われてる? と思い、今度は隣にいる兄の足を軽く踏む。
「ご心配無用ですわ。
私、子供を産んだ日より、2歳になる直前までジョージア様には忘れられるので。
かなりの冷遇されているとローズディアの社交界ではもっぱらの噂にもなりますしね。
私が領地に引っ込んでからも、ジョージア様はソフィアのところで住んでいます。
私は、きちんと衣食住は保証されているし、本宅で使用人たちと何不自由なく楽しく生活して
いますからご安心ください!」
「なんだって!!!アンナを第一夫人として本人が望んだのにも関わらず、捨てるというのか!?」
兄は、まだ起きてもいないことに激高してくれる。本当に優しいの兄だ。
「落ち着いてください。私は、それでいいのです。
問題は他にもございます。私は、子供の11歳の誕生日まで生きられません……」
「さっき、10歳まで育てることが使命といってたことと関係あるのかい?」
父が、静かに聞き返す。私は、それに頷く。
「理由は、ソフィアによって、私の子供に毒を盛られます。
大体は避けて通れるのですが、その毒だけは、代わりに私が煽ることになります……
それは、避けられないので、あと20年も生きることができないようです」
私の寿命を聞き、父は、目頭を押さえている。
母は口元を押さえている。
兄は、言葉がでないようだ……
「それまでにも何回か食事に毒を盛られますが、食器を変えたり毒の耐性を付けたりとなんとか
避けられます。
夢で見られるのもあるので避けられますが、見れないものは口に入れてしまいますね。
向こうに行くまでには毒の耐性と知識、解毒剤を作る知識を付けなくてはなりません」
兄の顔が青ざめる。
そして、私の手をぎゅっと握ってくれる。
「それなのに、なぜその道を選ぶのだね?」
静かに父に問われる。
「…………私の産む子供が、トワイス国、ローズディア公国、エルドア国の3国を纏めあげ王になる
からですよ……」
さすがに衝撃が部屋に走る。
私が死ぬことが分かっただけでもかなりのものだったが、私が生んだ子供が3国の王になると
いうのだ……とても信じがたい話である。
「お父様とお母様は、ハニーローズを知ってますか? 」
二人とも知らないようで、顔を見合わせている。
「では、もともととこの3国は一つの国だったのはご存知ですよね?
その始まりの王が女王だったことはご存知ですか?
かの女王の名前は、アンバー女王。
そして、とろっとした蜂蜜色の瞳が特徴でした。
彼女のことを王配が、ハニーローズと呼んでいたらしいです。
3国の記録には載っていませんが、アンバー公爵家にはその王配の手記が残っています。
そして、ハニーローズが生まれる年代は、大きな厄災が起こるが毎世代栄えるとも。
今は国も分断され一領主となっているアンバー公爵の領主としての手腕もさることながら、
王の器としての采配も見事だそうで、ハニーローズが生まれた世代には、王の代行者として
ローズディアでは代々重宝されています。
ローズディアでは、法が敷かれており、アンバー公爵家に生まれるすべての蜂蜜色の瞳を持つ者を
害したもしくは害そうとした場合は、一族郎党死刑となります。
古い法になるので、王家に連なるものとアンバー家のみが伝承されている法になっているようです。
一応、トワイス国の法を記した本にも載っているのですが、あまり知られていない気がします」
そこで区切ると、さすがに三人とも気づいたようだ。
「次世代のアンバー公爵家にハニーローズが生まれるということか?
その子供を産むのがアンナ。
そして、アンバー家は、正当な王家の血筋と……」
父の声が震えている。
こんな話、信じてもらえるとは思っていない。
でも、家族なら……こんな私も支えてくれるのではないかと思える。
「その通りです。
3国に分かれたときにローズディアの建国者の実妹であった当時のハニーローズを自国で降嫁させ、
公爵家にアンバーの名前を授けました。
これは、当時の公、つまりハニーローズの実兄が意図的にしたものだそうです。
ローズディアの初代公は、ハニーローズの存在を巧妙に隠して他の二人の王子と祖国へクーデターを
起こし自身の国を得ました。
そして、隠蔽された実妹のハニーローズが、もたらす益を実兄は知っていたのです。
何世代かごとに生まれたハニーローズは、アンバー家の領主と定め、他の2国へ出すようなことは
しませんでした。
その後、調べてみても各王家で蜂蜜色の瞳の子は産まれていません。
アンバー家でしか蜂蜜色の瞳の子供は生まれなくなりました。
それも当代一人か二人……
その中でも、ハニーローズは何世代に1度生まれるかどうかの存在です」
かなり壮大な話になってきている。
この話を子供の私がずっと抱えてきたのかと思うと三人には、かなり堪えたようだった。
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