「あれ、知りませんでした? うちの用心棒の話」
「タカヒサさんとかが手を回しているのかなーって思ってました」
「リーエルさんがいるからいらないという結論に至ったんですよ。あの人あれでこの街屈指の戦闘力ありますからね」
「まじですか」
休暇中のギルド職員さんを偶然捕まえられたので驕りという名の対価を用意して情報の一部を吐き出してもらっていた私はげんなりとする。
この街は私が今まで旅をしてきた各国の中でも特に物騒で、なのに治安はよくて、極稀に恐ろしいほどの力を秘めた人物がいる。
その中でもトップクラスとなると……。
うん、考えるのを辞めよう。
「あ、もう一品デザートどうぞ。代わりに私がリーエルさんの事を聞いていたってのは内緒で」
「わーい、たぶん言っても気にしないとだけ答えておきますよ。あの人詮索されるのは嫌いですけど、興味本位でという理由なら特に何かすることも無いでしょうから」
なにかされたようだ、って人がいたんですね……。
……今日からタカヒサさんのところで寝泊まりさせてもらおうかな。
色々失う覚悟が必要になってくるけど、なにかされるよりは……。
「だから、次からは気を付けてくださいね」
ボソッと、背後から耳打ちをされた。
そこにいたのはにっこり微笑むリーエルさんだった……この後紅茶とケーキおごって許してもらいましたとさ……。
思わぬ出費だけど命だけは助かった……。
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