「ありがとうございます! 本当にありがとうございます! 」
「お気になさらず、私もいい物が買えました」
ギルド職員の前で金銭と物品の受け渡しを終えた私達。
ひたすら頭を下げ続ける店主さんの胸にはゴールドが詰まった袋が抱えられている。
「お礼はもう十分です、それより善は急げと言いますよ」
「そうですね……最後に、お名前を教えていただけませんか。私はドリアと申します」
「ドリアさんですか。私はエルマです。またいつかお会いする機会があればと」
「えぇ、その時は最高の料理をご馳走します! 」
そう言ってギルドを飛び出していった店主もといドリアさん。
あの人のこれからに幸多からんことを、なんて祈る程信心深くないけどね。
それでも追い出すような形にしてしまった負い目はあるから旅の無事くらいは祈っておこう。
「……あの、胃は大丈夫ですか? 」
「ははっ、やばいです」
声をかけてきたギルド職員に素直に答える。
うん、超痛いの。
胃がね、これでもかってくらい痛いの。
キリキリどころかズッキュンバッキュンってくらいに。
「あのお店、ゲテモノ以外は美味しいんですけど食べると必ず胃がおかしくなるって有名なんですよ……」
「そういうのは先に教えて下さいね。あとこれ、さっき買った酒とマンドラゴラの粉を自称していた物品です。違法じゃないか調べてください」
「わかりました」
その後これらの物品は違法ではないが特上の品々であると鑑定書が用意されたのだった。
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