「あのさ、俺様はポマーハスが斬りかかってきたから視界を奪ったわけじゃないんだ。
左腕を切られたぐらいで怒ったりはしない。そんな事ではまったく怒っていない」
ポマーハス:「はぁ?」
「だから、もう言ったろ。お前の視界を奪わないともう会えなくなるのが嫌だからさ」
ポマーハス:「ふざけんな!」
ダニエタン:「お、やるか。いいぞ、目隠ししてやってやる」
カヌルト:「ダニエタンが勝つのに100万点」
タワポス:「私もダニエタンが勝つのに100万点だ」
キロアフム:「兄ちゃん、やっちまえ。ダニエタンが勝つのに100万点」
---ダニエタン視点-----
-じゃれ合い中---
これからは、もうこんなふうに遊んでいられないかもしれない。
今のうちに遊んでおこうか。
そんな事を考えると、今まで俺様達が過ごしてきた時間が、どれだけ安全で貴重なものなのか。
本当には分からないけれど、少しだけ想像できた。
これで良かったのかもしれない。
こんな当たり前の平和がない事の方が当たり前だったんじゃないか。
じゃあ、ずっと自然な生き物の自然な生き方だったらそれで良かったのかというと、そうは思わない。
こんな当たり前に感じていた平和があったから、ポマーハスとも皆とも仲良くなれたんだ。
もし、生き物があるべき自然の生き方をしていてポマーハスと出会ったら、俺様はポマーハスを殺していただろう。
そして、俺様は何も知らないままでいたんだろう。
何も変わらずに生きてきたんだろう。
俺様を俺様が恥じて生きていたのかもしれない。
---ポマーハス視点---
まったく怒ってなんていない。
ただ、俺達が過ごした平和な場所で、遊びたかったんだろうな俺は。
ダニエタンが何を考えてるか分からないという事には苛立ちや疑問不安はある。
強いダニエタンが、なんで弱い俺を護ってくれていたのか。
なんでダニエタンが今後も俺を護ってくれるというのか。
それは分からない。
---ダニエタン視点---
ポマーハスの疑問や苛立ちが伝わってくる。
なんでかって、お前が俺様にどう生きるべきか教えてくれたんじゃないか。
ポマーハス、俺様はお前がいないとどうしようもないただ力を持っている者だったんだ。
ただ力を使えば暴力だとか、正義がなく力を使えば暴力になるだとか、そんな言葉はいくらでも聴いてきた、見てきた。
ただ、俺様はそれでは何も分からなかった。
経験しなければ分からないのは馬鹿だとか、賢い者は本から学ぶだなんて、言われてきた。
それでも、俺様は分からないんだ。分からなかった。
分からないのに分かったふりをするのが賢いというなら、俺様は馬鹿でもなんでもいい。
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