「ジョゼット、お前に婚約破棄を告げる」
私も婚約破棄したいなぁと思ってたので別にいいですよ。
むしろありがとうございます。
こちらから切り出しても払う慰謝料もありませんでしたからね。
「それで慰謝料の事なんだがな、3000万カッパーで納得してくれないか」
お互い早く婚約破棄したいのでもうそれでいいでしょう。
「はい、分かりました。3000万カッパーで婚約破棄しましょう。早い所婚約破棄の契約書とか書いちゃいましょう」
ぱっぱーと婚約破棄の契約を終わらせました。
「早く終わって良かったんだけどさ、そんなに俺の事嫌いだったか」
元婚約者はあまりにも早く婚約破棄が受け入れられたのが少し気に食わないようです。
安心して下さい。貴方の事は愛しても嫌いでもありません。貴方には不満もとくにありません。
「いえ、嫌いじゃないですね。愛してもいないけれど、まぁ婚約者としては合格でした」
「そのわりには婚約破棄があまりにも早くすんだんだが」
「貴方に不満はなかったのよ。聖女の仕事が嫌だったのよ」
ニヌペ王国の聖女はわりに会わなかった。
ニヌペ王国の聖女は王太子との結婚が決まっていて、それを理由に給料が凄く安い。
あくまで相応な給料ではなく王太子妃王妃の妻の責務のようになっているのだから、
月給30万カッパーしか支払われない。
それなのに長時間労働。超ブラック労働。
ニヌペ王国内を年中ぐるぐる回り結界が弱まっていないかの確認補修。
国内の東端で結界が破れていると報告があれば馬でひとっ走りして結界張って、レモネードでも飲もうと
思ったら国内の西端で結界が破れてるから今すぐ直してとかね、そりゃきれますよ。
やってられるかぼけぇってなりますよ。
でもね、そんなのダニエタンと婚約する前からニヌペ王国聖女になる前から分かり切ってたんです。
他国に行っても聖女なんてのは同じようなもので王族の妻婚約者がやるもの。
給料も月30万カッパー程度と相場が決まってるんです。
無駄、どこに行っても同じなのだから場所を変えても今ここから逃げても無駄。
なので、場所を変えずこの地で聖女を続けようと思います。
「王都で今後も聖女やっていいかしら。王都だけに結界を張って王都だけを守るわ」
断られるはずがない。許可を聞いてるようで、聞いてない。分かり切っている。断れるものなら断ってみなさい。
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