---ポマーハス過去---
俺様は強い。
エルメス王家の力を借りなくても、俺様自身で下に付けてきた家来だけで十分に強い。
勝てば負けた者達を下に付ける。
負けた者は勝った者の下に付く。常識だ。
俺様はそんな常識には従い、生きてきた。
これは疑う事のない常識だ。
地元で同年代に負ける事なんてない。
毎日毎日目があっただの偉そうに道を歩いてるのが気に食わないだのと喧嘩してる。
俺様は偉い。エルメス王家嫡子だのニヌペ王国王太子なんて関係なく、俺様は強いから偉いんだ。
今も、じろじろ見てくる連中がいたのでタイマンしてるんだが、こんな考え事をしながらタイマンやる程弱い。
俺様が強いからというだけではない。
この相手が弱いのだ。
どこかの男爵令息なんだろうが、あまりに弱い。
俺様が強すぎて怖気づいているのか、弱い上に本気も出していないようだ。
弱くて怖気づいてるどこぞの男爵令息なんてこれ以上相手にしてもつまらない。
「弱すぎて面白くないな。もういいから下に付け」
「ああ、下に付かせてもらうさ。まさかニヌペ王国王太子ダニエタン様を怪我させるわけにもいかないからな」
「何を言っている。このタイマンにニヌペ王国は関係ない。俺様が怪我しようが死のうがニヌペ王国は出てこない」
お父様お母様にも話はつけている。
ニヌペ王国王太子という事になっていてもそれは伝統や外聞、見栄だ体裁だのいう事で、いずれ何か理由を見つけて弟の
フォルクが王位を継承する事になっている。
お父様お母様は勤勉で賢いフォルクが王位を継承する事を望んでいる。
俺様も、フォルクが王位を継承すればいいと思っている。
俺様が喧嘩で重症になれば、それを理由にフォルクに王位を継承させられる。
俺様が喧嘩で死ねばフォルクが王位を継承して当然。
お父様お母様も、俺様が喧嘩で死んでくれれば喜ぶぐらいなんだ。
まぁこれだけ好き勝手やる条件に第一聖女との婚約を付けられたんだが、
これだけ好き勝手やるんだ。
このぐらいの条件構いやしないと婚約を受けた。
婚約者の第一聖女とは会った事もないな。
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