広いホールに、人影が一つ。
静かに息を整え、言の葉を紡ぐ。
其れは、魂魄を巡る物語。
只一つの終焉を願い進む、救済の物語。
――まぼろしさんって知ってる?
その言葉が、長い物語の始まりとなるものでした。
町はずれに建つ、とある館にまつわる噂。
その噂に誘われるようにして、七人の少年少女たちは、館に向かうことになるのです。
それは、よくある怪談話のはずでした。
けれど、それは決して単なる噂ではなかったのです。
迫りくる恐怖の数々。散りばめられた謎。
先に待ち受ける運命を知らず、彼らは自ら足を踏み入れていく。
少年少女たちは、果たしてその館から生きて帰ることが、できるのでしょうか……。
……さて。
前口上はこの辺にいたしましょう。
それでは来場者の皆さま、長らくお待たせいたしました。
これより第一部、幻影綺館(げんえいきかん)、開幕いたします――。
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