ズィミウルギア

風月泉乃
風月泉乃

【オンライン】3話

公開日時: 2020年11月25日(水) 08:00
文字数:1,487




「おう、揃ってんな」


 ボウガさんが飛び込む勢いで室内に飛び込んでくる。


『そんな勢い良く入ってこなくても』

「そう言うなって、良いもんやるから」


「多分アレでござるな、蜂が苦手ぇっ!」

 後ろからゆっくりと顔を覗かせて、オレ達を見るガウに振り返り。


「余計な事を言うもんじゃあねぇよ」


 ゲンコツの仕方がウラさんに似ている。


「こほん、ホレよ」


 キラキラした、青白い半透明の石で出来た鍵を放り投げて来た。


『コレは、なに?』


「まぁ、権利者の鍵ってアイテムさ。俺の次にこの辺りの土地を好きに出来る証だな」


 綺麗な鍵が光の塊になってオレの胸に吸い込まれていく。


「まあ、なんだ。オレはここの纏め役ってだけで色々とやるのはお前達だがな。俺には、ここを発展させる様な頭はねぇし。人を使えるってほど器用な人間じゃあねぇんだ。だが、良いか、ここの奴等を悲しませるような事をしやがったらすぐに追い出せるのも俺だからな、そこんとこ、忘れるんじゃあねぇぞ」


 自分のメニューに新しい項目が追加されている。


『は、はい』


 ちょっと怖くて背筋を伸ばして返事を即座にしてしまう。


「ははは、良い返事だ」


 乱暴に分厚い手の平でガシガシ頭を撫でられた。



 【グランスコート】

  ・第一集落の権限(可能)



 浮かび上がったその部分を押してみると、この辺りマップが出現した。


 均一の四角いマス目で表示されていて、家や畑といったデザインの絵が表記されている。


 先ほど蜂達とウサギさんに指示した部分は、其々にもう割り振られている様で、蜂達は黄色の範囲で塗られて、ウサギさん達は白色で塗られている。


 自分の家と好きに使って良い範囲は緑色の透明で表示されている。


 他の人の家の部分は赤く表記されていて、選択できないようだ。


「他のヤツ等は自分達で何とかしていけ。俺は最低限しか手伝わねぇからな」


「ふむ、しかし、「面倒だ」って文句をお言いながらも、色々と準備をしている時のボウガ殿は、孫が出来て嬉しそうな感じぃでっ⁉」


 大きな足音で、ガウの元まで走っていきさっきよりも強く、回数も一回増えて、思いっきり殴り、遠くへと吹っ飛んでいく。


「……アレは黙ってられないの?」

「まぁ、悪気は無いんだよ。余計な言葉は多いけどね。いや、良い奴なんだよ、ほんと」

「でもまあ、良い事を知れた感じかしらね」


「本当に黙って欲しい事柄は絶対に喋らないから、多分だけど」

『そうだと、良いね』


 オレは知っているが、確かにちゃんと彼は秘密だけは守るのだ。


 ただ、余計な事を言わないで欲しいタイミング言ってしまうだけで……良くも悪くも。


 その最たる犠牲者はティフォこと樹一と、もう一人なのだ。


 オレは何故だが被害にあったことは無いんだけど。なんでだろう。


「たく、……なんだよ?」


 耳が真っ赤で、ちょっと恥ずかし気なボウガさんを皆がニヤニヤしながら眺める。


「だぁ~、それとだ、その回覧板には目を通しとけよ。それに書いてあるのは此処に住まう奴等の頼み事が掛かれている。まず一番に目指すべき項目はここと中央部の城下町までの道を造るってとこが目指す場所だな、なんでか分かるか?」


 皆が一斉に首を横に振った。


 ちょっと怒ったボウガさんが怖かったです。


「道を造れば行商人の行き来が出来る様になるからだ、道を造ればその場だけはモンスターが一切湧かなくなるんだ。つまり村人の安全ルートが開拓できる。つってもこの集落には目玉になるような品があるわけじゃあねぇ、それも合わせて考えてけよ。他には、此処に住んでる奴の困りごとを解決していけば、仲良くも慣れるだろうよ。後は自分で考えな」



 そういって、咳払いをしながら恥ずかしさを紛らわすように出て行った。





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