「いや、なんかごめんね……初対面でベラベラと……」
申し訳なさそうに徹は頭を掻いた。
「ううん、わたしの方こそ色々聞かせてくれてありがとう……でも、どうしてわたしに話そうと思ったの?」
「え、ああ……それは……」
菜緒の問いに対して、徹は少し考えてあと嬉しそうな顔をして言った
「蓮見が昔と同じ顔して笑ってたから」
「え……」
「きっと蓮見にとって信頼できる人なんだなって思ったんだ……だから、蓮見のことちゃんと知って欲しいなって勝手に思ってさ……変な噂に惑わされちゃう前にって……なんか、ごめんね、本当大きなお世話なんだけど……」
1人で話しながら徹はテレくさそうにしていた。
「この学校は行ってからも蓮見のことたまに見かけたことあったけど、やっぱり周りと壁作ってるし、ここでも良くない噂が広まっちゃってて、心配してたんだけど……実行委員の集まりで間宮さんと話してる時は俺の知ってる……俺を救ってくれた中1の時の蓮見のままだったから、すごく嬉しくなって……だからきっと蓮見にとって信頼……って話がループしてるね」
徹はさらに恥ずかしそうにしながら笑った。徹は本来シャイな性格で話すのもそんなに得意ではない。だから、話がまとまらなかったりループしたり一人語りみたいになったりしてしまう。
徹の話を聞いていて菜緒もそういう印象を受けたが、全く嫌な感じはしなかった。一生懸命な気持ちが伝わるし、今回の場合は淳人のことをきちんと知ってもらいたいという真剣な気持ちも伝わってきた。何より根拠のない噂なんかより遥かに信頼できるものだった。
「少しでも蓮見に恩返ししたくて……って蓮見は俺のことなんか多分覚えてないし、ありがた迷惑かもしれないけどね……」
徹が自嘲気味にそう言って笑った時、菜緒はハッとした。
「あ、五十畑くん、この後何か係とかクラスの応援とかある?」
「え、いや、お昼前くらいまで何もないけど……」
「じゃあ、ちょっと付き合って!」
菜緒の突然の誘いに徹は戸惑う。そんな徹を見て菜緒は笑った。
「わたしにも大きなお世話焼かせて」
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