「殿下、いえ天上人様? 何かコメントを」
アイリスが小馬鹿にしたような口調でそう言った。
「ち、違う! こ、これは違うんだ! さ、酒が入っていたから! そ、そうだ! よ、酔っていたんだ! よ、酔っ払いの戯言だ! ほ、本気でそんなこと言う訳ないじゃないか!」
イーサンは会場中から刺すように伝わって来る殺気に怯えたように、ひたすら酒のせいにして責任から逃れようとする。
「そうですか。では続けますね。□月◇日、あなた方は視察と称して城下町にお忍びで出掛けましたね?」
アイリスは淡々と続けた。
「さ、さぁ...お、覚えていないな...」
イーサンは明らかに挙動不審になっている。取り巻きどもの顔色は真っ青になっている。
「その際、あなた方は『平民狩り』と称し平民の若い女性を拐って、散々に凌辱し尽くした後、ボロ雑巾のようにその辺に捨てましたね?」
「なっ!? し、知らん! そ、そんな酷いことはしていない!」
イーサンは口から唾を飛ばしながら必死に否定する。
「しかもこう言った蛮行はこの日だけじゃありませんね? 何度も同じことを繰り返していますね?」
アイリスの追及は止まらない。
「だ、だから知らん! な、何かの間違いだ!」
イーサンは髪を振り乱しながら否定するが、アイリスは気にせず続ける。
「ご自分は天上人だから、平民には何をしてもいいと思っているんでしょう? 家畜と仰っていましたもんね。だからあんな鬼畜な所業も平気で行えるんでしょう? 可哀想に...被害に合った女の人の中にはショックのあまり廃人になってしまった者、婚約者や恋人に捨てられ世を儚んで自ら命を絶ってしまった者、家族から疎まれて娼館に売り飛ばされた者など、人生を滅茶苦茶にされた方が沢山いらっしゃいます。これでもまだご自分に罪はないと仰るおつもりで?」
ついにイーサンは黙り込んでしまった。取り巻きどもの顔色は真っ青を通り越して真っ白になっている。会場中の殺気は今にも爆発しそうなくらいに膨れ上がっていた。
そんな中、アイリスはブルブルと震えているサリアに話し掛ける。
「サリアさん、もしかしたら被害女性の中にあなたの知り合いの方が居たかも知れませんね。それでもまだそんな鬼畜どもと一緒に過ごすおつもりですか?」
アイリスはもうイーサン達に敬意を払うつもりはなかった。
「あなたもいつ同じ目に合うか分かりませんよ?」
「い、嫌あぁぁぁっ!」
アイリスにそう言われたサリアは、叫びながらイーサン達から離れて行った。
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