「そろそろいいでしょうか?」
先程からイーサン達の声が聞こえなくなって来たので、アイリスはタコ殴りにしていた生徒達に声を掛ける。
あれだけ言っておいたのだから、よもや殺してはいないと思うが、さすがに気にはなる。アイリスが近付くと生徒達の人垣が割れ、イーサン達の状態が把握できた。
顔の見分けがつかない程、ボコボコに殴られて腫れ上がっている。意識は無いようだが、息はしているようだ。
聞こえてはいないだろうが、アイリスとしてはケジメをつける意味でも、これだけはちゃんとイーサンに言っておく必要があった。
「婚約を破棄したいんでしたっけ? 謹んでお受けしますわ。あなたなんか死んでもお断りです」
そう言って見事なカーテシーを決めたのだった。その傍らにはイーサンの取り巻き3人の婚約者達の姿があり、彼女達も同じように婚約破棄を突き付けたのだった。
◇◇◇
その翌日、アイリスは国王に呼び出されていた。
「此度の件、我が愚息が大変申し訳ないことをした...謝って済むことではないが、まずは謝罪させて欲しい。この通りだ...」
そう言って国王は深く頭を下げた。ちなみにケダモノどもは、王宮の地下牢に収監されている。
「頭をお上げ下さい。国王ともあろうお方が臣下に頭を下げるものではありません」
アイリスは淡々と応じた。
「しかし...」
「謝罪というなら、今回の件の処罰を私に決めさせて貰えませんか?」
「...よかろう。申してみよ」
「ありがとうございます。まずイーサン殿下とその取り巻き連中は、去勢して子の成せない体になって貰います。被害に合った女性達は、不幸中の幸いと言いますか、妊娠した者はいませんでした。もっとも既に自害してしまった者は確認のしようがありませんが...」
「許可しよう。もっとも既に全員が廃嫡されておるから、言われなくてもそのつもりだったがな」
「ありがとうございます。更にその上で男娼として娼館に売り飛ばし、その店で死ぬまで働いて貰います。今まで散々女を犯して来た報いを、今度は自分が犯されることによって、その身に刻んで欲しいと思います。そして、そこで稼いだ金は全て被害女性の救済にあてたいと思っています」
「お主が立ち上げた支援プログラムとやらか?」
「ご存知でしたか」
「もちろんじゃとも。立派な志じゃと感心しておったところじゃ。よかろう、お主の望みは全て叶えようぞ」
「ありがとうございます」
アイリスは満面の笑みで答えた。
こうしてケダモノどもの処遇が決まった。
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