アイリスはイーサン達を取り囲む生徒達に向けて大声でこう言った。
「皆さん! この人の皮を被ったケダモノどもに制裁を加えるのは構いませんが、殺してはダメですよ! コイツらには死んだ方がマシだと思えるような刑罰を与える予定です! 簡単に死なせて楽にさせてしまったら、コイツらの被害に合った女性達が浮かばれませんから! 死ぬまで長い間苦しませることにしたいんです! それにあなた方の手をこんな輩の血で汚したくありません! いいですね!?」
すると生徒達はアイリスに向かって、
「Yes,Ma'am!」
と、一斉に見事な敬礼で応えたのだった。
「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
それを聞いたイーサン達は震え上がった。生徒達が一斉に襲い掛かる。
「...や、止めっ...お、俺様を誰だと思っ..」
そんな声が最初の内は聞こえていたが、しばらくすると静かになった。取り巻きどもはもっと早くに沈黙していた。
◇◇◇
イーサン達が生徒達にボコボコにされてる間、アイリスはまだ呆然としているサリアに近付いた。
「サリアさん、もし良かったらなんだけど、あなたも被害女性のための支援プログラムに参加してみない?」
「...支援プログラム...ですか!?」
サリアが訝しげに尋ねる。
「えぇ、そうよ。あのケダモノどもに、心も体も傷付けられた女性達の社会復帰を支援しているの」
「...それってアイリス様が立ち上げたんですか!?」
「その通りよ。せめてもの罪滅ぼしのためにね」
「...どうしてそこまで...アイリス様のせいじゃないのに...」
するとアイリスは唇を噛んで、
「私は曲がりなりにもあのケダモノの婚約者だったから...もっと早く気付いていたら...もっと早く止められていたら...1人でも多くの女の人を救えたはずなのよ...それが歯痒くて仕方ないの...だから...偽善と思われるかも知れないけど、今更遅いって言われそうだけど、何か手助けしたい...そう思ったのよ...」
それを聞いたサリアの目に涙が溢れた。
「わ、私、なんてことを...こ、こんなに立派な志をお持ちのアイリス様を貶めるような悪事に加担していたなんて...ご、ごめんなさい...ごめんなさい...ごめんなさ~い!」
号泣してしまったサリアをアイリスは優しく抱き締め、
「...いいの...もういいのよ...もう終わったことだから...ね?」
そう言ってサリアの背中をトントンと叩いた。
「ふぇぇぇんっ!」
サリアの泣き声が会場中に悲しく響いた。
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