7冊目『願いの代償』について
時期について
4月~5月の間になります。
優也は小学校6年生になりました。
代償について
小瓶にこめた願いが叶うと、願った者と小瓶を持たない者の記憶を完全に作り変えます。
小瓶を持つ者は、作り変えられた記憶と、作り変える前の記憶の両方を所有します。
これはある程度交流のある『契約者』であれば、だれでも知ることが出来る情報です。
しかし、理久は小瓶の願いを叶えるまで、知ることはありませんでした。
それは"聖剣士ともあろう『契約者』がそんな大切な事を伝えないはずがない"という思い込みも当然あります。
しかし、幼い優也の事を知っている『契約者』からすれば、優也がどんな子であるかは理解していたはずです。
気づいて、そして、あえて黙っていたのでしょう。
黒田棗は、この代償の事を知っていたため、優也の意志を尊重したうえで何も知らない理久に対し恨むという発言をしていました。
優也にとっての虐待の認識について
幼い頃の優也にとって虐待は『躾』であり、『いい子になるおまじない』でした。
自分の体が傷つけば傷つくほど、痣が増えれば増えるほど、『母親を殺してしまった罪』を償えるのだと信じていました。
クリスからみて当時の優也は怪我に喜んでいるようにしか見えず、人間ではない彼女からすれば良い事なのか悪い事なのか判断が付きませんでした。
ただし、危険な損傷を受けている場合は危険だと判断し、砂を使って治したり、父親になんとか助けを求めるように促していたようです。
幼い頃の優也は外界との接触はなく、関わりのある人間は家政婦か、父親のみ。
稀に羽瀬川が面倒を見ることはありましたが、当時の羽瀬川は優也に対し冷たく接していました。
優也が優也自身で虐待を受けていることに気づいたのは、本が読めるようになってからになります。
しかし、その時には既に正気でいられる時間は殆どありませんでした。
生理的欲求ですら家政婦の思うがまま、操られ、振舞う人形になっていました。
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