「あともう一つ、闘神とは一体なんなんだ?」
「闘神ですか…それは…」
このプグナ王国は命の駆け引きまでする闘いを好む戦闘狂が多いのはわかったが、サニーテが言っていた闘神がまだなんなのかはわかっていない。
「闘神とはこのプグナ王国の守護神的なもので、闘いとそれを観戦している者の熱気をエネルギーにしてこの国を守っているのです。なのでもし仮に私の望む闘いがなくなったとしても闘神の力はなくなり、王国が崩壊してしまいます…」
つまりサニーテの望みは叶えたくても叶えられないと…
たった一つの可能性を除けばだが…
「観戦している者の熱気と言ったが、別に命の駆け引きがなくてもとにかく熱気があればいいんだよな?」
「その通りですがこの王国の民は全員と言っていいほど、命の駆け引きをする闘いを好むのです。それを越す闘いがなければ永遠と闘いで命を落とす物は絶えないでしょう…うぅ…」
「聞きたいんだがその命の駆け引きをする闘いは、どういう感じなんだ?例えば魔法とか使ったり武器を使ったりするのか?」
「え?どういう感じかと言いますと武器も魔法も使いますし、とにかく昔から命を奪うことだけを考えています…」
なるほど…ということは醜いといっちゃあれだが、魅せる闘いでは無いと。
もしこのプグナ王国の民に魅せる闘いを観せたらどうなるのか…
「よし…助けてくれたお礼だ!サニーテ!熱気を出しつつ闘神の力を無くさずに、命の駆け引きをする闘いも無くそう!」
「棚和さん…そんなことできるわk…」
「いやできるッ!」
俺はサニーテの言葉を遮るようにそう言った。
これは流行りの転生モノでよくあるが、人間界の知識を異世界で活用するようなものかもしれない。
俺は馬鹿だから化学とか国ことなど難しいことは分からん…
しかしだ…
エンターテイメントと闘いを混ぜた「魅せる闘い」…プロレスの知識ならある!!
「いいかサニーテ?俺のいた人間界にはプロレスという魅せる闘いがある。」
「プロレス?魅せる?」
「そうだ。命の駆け引きこそはないが技の派手さ、そして仲間の裏切り、助け合いといった人間関係が混ざった闘いだ。つまりドラマであり人生!」
「な…なんだかよくわかりませんが、普通の闘いではないんですね。」
人間界でも説明しても観ないとよくわからない人が多いから、サニーテが理解できないのも無理はない。
「このプロレスが命の駆け引きの闘いより勝るかもしれない。助けてもらっておこがましいかもだがもしサニーテの望みが叶った時は、俺は人間界に帰る方法もわからないし、しばらくはこの宿に泊まらせてくれ。」
「娯楽の闘いで命を落とす方がいなくなるなら全然構いませんよ!むしろ歓迎します!」
「ありがとう…!じゃあまずはプロレスをしてくれる選手を集めるところから始めるか!」
ここから俺は異世界のプグナ王国にプロレスを広げる物語が始まった…!
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