盗みを働いていた男性オークのウェルと女性ゴブリンのファメに、今までの盗みは見逃すが仲間にならないなら始末すると圧をかけスカウトした。
「なぁ棚和。わっちプロレスって初めて聞くしわからないんだが一体なんなんだ?」
「魅せる闘いとは教えてもらったが、詳しく教えてほしいだぁ。」
ファメとウェルが聞いてくる。
ならリヒトとスパーダと同じように試合映像を観せながら説明するとしよう。
ただこの2人は盗みを働いていたから、それに合うプロレスの試合だ。
「じゃあウェル、ファメこの試合の映像を観てくれ。」
今回観せるのは体格が小柄で天下のベルト大泥棒と呼ばれるレスラーの試合で、真っ向勝負をせずに相手を翻弄させて勝負する試合だ。
「おお!互いに手をつかみ組み合ってる(ロックアップのこと)!」
「ただやっぱり身体が小さいヤツは押し負けてただぁ。」
小柄な身体の天下のベルト泥棒は大男とのロックアップで押し負けたが、実のところ押し負けるのが狙いだ。
「「んん!?」」
「押し負けたと同時にリング外に逃げていくように出てったぞ!?」
「このチビ腰抜けなんだなぁ。」
「少しここでプロレスのルールを説明しておこう。相手の両肩を床についた状態で相手を抑え込み、3秒カウントを取ったら勝ちになる。またリング外にいって20秒カウント過ぎると負けになるんだ。」
他にもルールはあるが今回の試合はこのルール説明だけで十分だ。
「お!場外に行ったからカウントが始まったぞ!」
1、2、3…と次々とカウントが進んでいく…
それでも小柄な天下のベルト大泥棒はリング外どころか、会場から姿を消し戻ってはこない…
「もう18カウントまできてるだぁ。この巨大な大男の勝ちだなぁ。」
その時だった…
余裕で勝ち誇っている大男の視界の後ろから勢いよく走り、あの小柄のレスラー!
そう!天下のベルト大泥棒が戻ってきた!
そしてリングに戻った瞬間…!
「なんだ!?アイツ不意打ちで後ろから丸め込んだぞ!?」
そして…
「あの大男から3カウントを取っただぁ!?」
「おい!棚和これってありなのか!?」
「全然ありだ。ルールの範囲ならどんなことだってやっていい!なんならレフェリーさえ見ていなければ限度はあるがルールを破ってもいいんだ!」
「はぇ…ただ卑怯なやろうだぁ…」
卑怯と言えば卑怯だが、盗みを働いてたやつが言うセリフじゃ無いと思うんだが…
「ちなみにだ。憶測でしかないが小柄なやつは不意打ちで裏から出てきたのは、自分は逃げたと思わせておき、会場全体はつながっていて走って後ろから回り込んだ感じだな。」
リングだけが闘いの場ではなく、会場全体が闘いの場なのだ。
そして会場をものにすれば小柄なヤツでも大柄な相手にも勝つことができる!
ただもちろん全員が全員それをやったら収拾がつかなくなるので、基本的に今回のようなことをやるのは悪役だが。
「しかしまさか不意を突いたりしてくるとは、盗みを働いてたわっちと似てるじゃないか!これは盗みの才能を活かせるかも!」
その通りだ。そもそもその才能が狙いでスカウトしたのだから!
残るスカウトをしたい種族はゴーレム!
ゴーレムというからどんな大きさなのか楽しみでもあり、そいつをどう試合させるかも楽しみでもある!
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