駅の正面玄関で、ケンタと合流した。
“アイザックが怒ってる”って、小走りで高架下の横断歩道を渡ってきた。
言われなくてもわかってる。
あとでちゃんと説教は受ける。
ただ今は、敵を追わないと…
「無線切ったでしょ?」
「うん」
「繋いだ方がいいかも…」
「繋いだってしょうがないじゃん?どうせガミガミと…」
「警備の人たちが来るって」
「わかってるよ」
「じゃ、とりあえずステーションに行こう。下手に動いてもしょうがないし」
「下手にって…。さっきまでそこにいたんだよ?!」
「だとしても、スキルメーカーを捕まえるのは容易じゃない。それはわかってるでしょ?」
「うん、まあ…」
「じゃ、行こう。確か区役所の下にもあったはずだ。そこで情報を整理しよう」
「…」
反応がないっていうことは、この付近のやつも分身だった…?
手がかりが消えた以上、下手に追ってもしょうがない。
ケンタの言うことはもっともだった。
わかるよ?
言いたいことは。
逃げるのに徹したスキルメーカーを捕まえるのは、至難の業だ。
もし私が逆の立場だったとしたら、あらゆる方法を使って追手を掻い潜る自信がある。
元々逃亡を続けているスキルメーカーだったら、尚更そのへんについて理解しているだろう。
けど、せっかく見つけたのにっていう気持ちが、どうしても頭の中でモヤってた。
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