『近くにいそうか?』
『多分いない。表立って出てくるようなやつじゃないよ。わかってるでしょ?』
『決めつけは良くない。まずはできることをするんだ』
『できることって?』
『お前の得意分野だろう?“人探し”は』
…簡単に言ってくれるね。
体力使うからやなんだけど、仕方ない。
ボッ
エア・シュートに再度エンジンを点火させる。
センサーに引っかかった最初の場所。
有力な手がかりがあるとしたら、その場所か。
この付近にはいなさそうだった。
電子視覚を全開にして探ってはみた。
半径100m圏内なら、スキルメーカーの存在を検知することができる。
もう少し周りを見る必要もありそうだけど、犯人がアイツならまずこんなところにはいない。
思いつきでイタズラするようなやつだ。
今回だって、被害者と面識があるような感じじゃなかった。
私たちが出動することも織り込み済みだろう。
下手に危険を冒さないやつだからこそ、むざむざ事故現場に姿を表すような真似はしない。
バッ
まだ10分だ。
急げば、最初の場所にいるかもしれない。
センサーに引っかかったってだけで、その場所にいるとは限らない。
厄介なのは、青嶺颯汰は“拡散タイプ”のスキルメーカーという点だ。
集中タイプの私と違ってタチが悪いのは、自らの能力をコントロールできる範囲が広いということ。
「純粋系統(アクア)」である彼にとっては、遠隔で「水」を操作することなんて朝飯前だった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!