東京支部の総務局からは、基本的に“禁止“って通達されてる。
何がって、「学校」に行くことが。
私たちの間では当たり前の話だった。
公共の場で生活すること自体危険だった。
学校はもちろん、街を歩くことでさえ。
正体がバレたら即刑務所行きだし、仲間まで危険に晒すことになる。
安全に暮らすには人々の目を避けなければならず、表立って生活すること、社会の中で生きていくことは、一種のタブー扱いとなっていた。
ひと昔前に比べれば、だいぶマシにはなっていた。
「スキルメーカー」
——つまり、特別な力を使える”異能者”が生まれた頃は、人権なんてあったもんじゃなかった。
見つかり次第即武力行使をされ、銃を突きつけられていたんだって。
場合によっては、街中が“戦場”と化すことも。
時代が進むにつれて情報が整備され、私たちの存在が少しずつ理解されるようになってきていた。
同じ「人間」で、同じ「人権」を持っている。
そういう声も少しずつ増えてきていた。
とくに、この日本では。
ただ、危険な存在であることには変わりなかった。
まだ社会では認められてなくて、“テロリスト”だって。
人間にも悪い人がいるように、スキルメーカーたちにも普通に犯罪を犯す奴がいる。
一緒にしてほしくはないけど、そう簡単な問題じゃないっていうかさ?
それと、生身の人間じゃ、まず太刀打ちできない。
スキルメーカーたちの「能力」は、それほど危険だった。
スキルメーカーが1人いれば、一部隊を殲滅できるほどの力があった。
だって、「モンスター」だよ?
私たちを取り締まる国際機関が、ヨーロッパ連合(EU)を中心として立ち上げれてるんだけど、その名称はWMDM。
日本語に訳すと、“世界魔物討伐機構”(World Monster Defeat Mechanism)っていう。
ひどくない?
同じ人間だとか人権があるとか、そういう声が霞んじゃうっていうか、バケモノにしか見られていないっていうか。
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