路地、大通り。
人の通りが激しい。
敵は通行人の中を走ってた。
さっきの場所と違って、大きい行動は取れない。
深追いをするつもりはない。
ようは、本体かそうじゃないかが分かればいい。
トッ
地上へと降りる。
上空から降りてきた私に、周囲の人たちは驚いてた。
毎度のことだ。
基本は姿を眩ましてるけど、今はそういうわけにいかない。
何かあっても、警視庁が尻拭いをしてくれる。
そういう「契約」だからね。
かといって、あんまり派手なことはできないけどさ?
ドンッ
敵との距離は30m
直線距離だ。
曲がり角まではまだ距離があった。
姿勢を低くし、一気に距離を詰める。
バシャッ
手に触れた感触は軽い。
…コイツも分身か。
手に触れたと同時に体が砕けた。
倒れるように傾く水しぶきが、道路の上に落ちる。
ダッシュした勢いのまま向かい側のビルの壁に飛び移る。
ここら辺は移動がしやすい。
街中は「壁」が多い分、立体的に空間を移動できた。
次は、3丁目。
アイザックから連絡が入った。
応援に向かってるのは“ケンタ”だって。
同じチームで、本名は支那虎謙太(しなとらけんた)。
「凍結系統(フロスト)」のスキルメーカーで、コミュ障っていうか、無口なヤツ。
警備運用部の人たちも、何人かは動いてるっぽかった。
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