ゴォォォ…
飛行機雲。
学校の屋上で、空に敷かれた一本の線を目で追っていると、パンを口に咥えながら話しかけてくる子がいた。
成瀬素子(なるせもとこ)だ。
「まーたこんなとこにいんのか。探したんだぞ?」
咲と同じく、彼女は同じクラスメイトだった。
男まさりな性格で、ちょっとギャルっ気がある。
後輩からすごい慕われてて、リーダー気質のある子だった。
口よりも体が先に動くタイプ?
甘ったるい生クリームなんかより、糖分ゼロのブラックコーヒー。
そんな印象の子だった。
「何か用?」
「用がなきゃきちゃいけないのか?」
「そういうわけじゃないけど…」
「じゃ、隣いい?」
「どーぞ」
塔屋の梯子を登り、コンクリートの上に寝そべる私の横で、カフェオレのパックに穴を開ける。
相変わらず微糖派なんだね。
私だったら、絶対に買わないやつだ。
「この前の話、気になったんだけどさ」
「なんか話したっけ」
「スキルメーカーの話。覚えてないのか?」
「…ああ」
そういえば、そんな話もしたな。
みんなはどう思ってるのか、ちょっとだけ気になってた。
聞くつもりはなかったんだけど、成瀬ん家で一緒にテレビを見てたら、たまたまね?
「普通に私たちの近くにいるって話。ヨーコはだいぶお怒りみたいだったけど」
「だね」
「水樹はどうなんだよ?」
「どうって?」
「…いや、ずいぶん肩持ってるなーって思って」
読み終わったら、ポイントを付けましょう!