急いで周囲を見渡す。
パルス・ボムの網に引っかかったのは、間違いなく”本体”だった。
分身を使ったタイミングはあのマンションから…?
…くそッ
もう一度周囲の情報を掴む。
パルス・ボムを上空に向け放った。
今度は楕円形でなく、真円に近い形。
ボッ
気配はいくつかのポイントに分かれていた。
青嶺のヤツ、分身をいくつか生成してる。
反応の一つ一つは、それぞれの方向に向かって走っていた。
どれが「本物」か。
すぐには判別がつかなかった。
どれか目星をつけないといけないけど、間違ったら取り返しがつかなくなる。
こうなったら、せめて次の手を考えなきゃ…
『聞こえる?』
『ああ』
『情報はすでに送ってる通りだよ』
『わかってる。応援はすでに向かわせた。あと5分もすれば着くだろう』
『遅すぎる。マーカーはつけておく。短時間しか効果はないけど、取り逃した方を追って欲しい』
『わかった』
情報通信部には、常に情報は提供してた。
敵が青嶺颯汰であることも伝達済みだった。
私が今できることは、少しでも「可能性」を残しておくことだ。
ダンッ
上空にジャンプし、空中から周囲を見下ろす。
1、2、3…
合計で5つ。
反応があった場所に、追尾式の弾丸を放つ。
当たるかどうかはさておき、本体以外ならある程度コントロールが利くはず。
問題は“本体”だ。
どれがいちばん、本体に近いか。
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