タワークレーンの赤い鉄骨の下を潜り抜け、人と車との距離がうんと近づいてきた。
山手通りの片側二車線が、短いトンネルの向こうへと続いていた。
道路の上に立つ街灯が、正覚寺前のバス停の横に続いていく。
消火栓の赤い看板。
クラシックな外観の家具専門店。
駅方面に向かって走る自転車が、街路樹の木漏れ日の下に通り過ぎる。
何人かの歩行者は、振り返りながら歩いていた。
犯人が残した車のせいで、軽いパニックが大通りで起こっていた。
乗り捨てられた車は前方車とぶつかったままで、事故が起こったままの状態だった。
トッ
地面とぶつからないように出力を抑え、クルッとボードを反転させる。
勢いのまま両足を投げ出し、反転させたボードは宙に浮かせた。
エンジンを切ったボードを右手に捕まえる。
ダンッという音とともに、右足が地面とぶつかる。
前のめりになる体を引っ張るように、走りながらスピードを緩めた。
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