言いたくても、やりたくても、できないこと。

「半分実話で、半分作り話」
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

ラブアタック

公開日時: 2024年7月21日(日) 14:00
文字数:818


 「リア充は爆発しろ!」


 なんて、言葉があるようにカップルを見たら、嫉妬してしまう時。ありますよね。

 でも、僕はもう40歳を超えてますし、妻と子供もおります。


 だから最近は、イチャついているカップルを見ても、イラつくことは少ないです。

 むしろ応援したいぐらいです。

 手を繋いでいるカップルがいたら、邪魔にならいように歩道から降りて、イチャつくのを促します。


 本当ならば、その時ニヤついて。

 

「まだヤッてないの?」

 

 と聞きたいのですが、理性でどうにか抑えています。



 とある繫華街の近くを、歩いていた時の話ですが。

 僕が小さな交差点で、信号が変わるのを待っていたら、突然ドシンと誰かが僕にタックルしてきました。

 いきなりのことだったので、僕は体勢を崩してしまいました。


 まあ僕の身体が大きいので、邪魔だったのかもしれません。

 それにしても、感じが悪いと思ったので、相手に視線を向けると。

 若い男女のカップルでした。


 かなり急いでいる様子で、早歩きでどこかへ向かって行きました。

 「ごめんなさい」などの一言も頂けなかったので、僕は少し苛立ちました。

 しかし、次の瞬間。僕の怒りはどこかへ消えてしまいます。


 なぜなら、彼氏さんが彼女さんの腰というか、ほぼお尻あたりをガッシリと掴んで離さず。

 ツカツカと音を立てて、ラブホへ向かって行ったからです。


(なるほどぉ~ そりゃ僕なんて目に入らないよね。でも、まだお昼の1時だよ?)


 とほくそ笑むのですが。

 

(ちょっと待てよ? あの彼氏さん、このままホテルへ直行する気か?)


 この瞬間、僕は思った。

 

(ダメダメ! 最高の時間は、最高の”アイテム”が必要だ!)


 そう思った僕は急いで、カップルの元へ駆け寄る。


「あ、あの、すみません!?」

「うわっ! な、なんすか……」

「そのままホテルへ行く気ですか? 良くないですよ!」

「何がですか?」

「”ホテルの”を使うより、コンビニとかで買った方が絶対良いですって! 高くても”薄い方”がいいですよ!」

「……」


 結果、僕は通報された。

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