巫女と勇気の八大地獄巡り

勇気リンリンの地獄旅
主道 学
主道 学

おわりに

11-00

公開日時: 2024年8月28日(水) 09:56
文字数:539

 音星の浄玻璃鏡で、無事に八天街へと戻った。

 

 今日はきっと熱帯夜。

 懐かしい感じがする八天街の民宿で。

 みんなが俺たちの生還に大喜び。

 夕暮れ時の民宿の面積一杯に大きな声が反響している。


「いや、良かったなあ!」

「本当に、無事に戻れて良かったねえ!」

「良かったよ。本当」 

「火端くんって、ほんとタフねえ。ねえ、今度お姉さんと一緒に日本一周の旅に行きましょうよ」

「……あのさあ、みんなに水を差して悪いんだけどなあ……弥生ちゃんは?」


 …………


「そうかあ……無事に人間に生まれ変わったかも知れないって? 弥生ちゃん?」

「ああ……」

「ええ……」


「どうしても、帰るのか?」

「ああ、古葉さん。俺のここでの役目はもう終わったんだよ」 

「私も旅の途中でしたので、もう実家に帰らないと」


 俺たちは八天街駅へと来ていた。

 古葉さんの後ろでは、みんなが手を振っていた。


 ロータリーからのクラクションの音。人々の忙しない雑踏。暑かった八天街の日差し。


 どれも懐かしいんだ。


「じゃ、もう行くよ」

「それでは、お後よろしいようで……」


 駅へ電車が走って来た。

 帰りの際に、俺は音星の顔を見つめた。


「なあ、音星。……弥生は……ありがとうって、言ったんだよ。最後に」

「へえ、そうなのですか」


「ああ、きっとな」

「では、青森県へと行きましょうか」


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