「あ…ああ、行ってくるよ」
ジュは苦笑いして返した。
ジュは主宰者の立て篭もった一室の扉へ歩いて向かう。
ジュは扉を静かにノックした。
「入ってきたら、この女を殺すわよ!」
室内から主宰者が叫ぶ。
呼吸が早く、息も荒い。
心拍数が早い事がわかる。
今突入すれば間違いなく、誰かが怪我をする。
「入ったら、女性を殺すんだね」
ジュはミラーリングする。
ミラーリングとは、交渉の基本だ。
相手の話をオウム返しする事で、話をしっかり聞いていると感じさせるスキル。
まずは、殺気だった敵対心を解く為に相手が話を続けられる環境作りが必要だ。
「そうよ! すぐに応援が来て、あんた達は終わりよ」
「もうすぐ応援が来るんだね。どのくらいの人数が来るんだい?」
ジュは小さな質問を返した。
話をしてきた内容に小さな質問を投げかける。
「都市兵の大隊が来るわ!」
ジュは扉を背もたれにして座り込んだ。
ふと、ある記憶を思い出す。
それはジュが死んだ前世の物語。
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