「はいよ」
橘はその隙間に投げ込んだ。
小部屋の中で、がさごそと食事を摂る音が聞こえる。
橘も菓子パンの袋を破り、菓子パンを食べながら漫画本を読み始めた。
食べ終えたのか、静かになる。
橘は漫画本を読み終え、立ち上がる。
本棚から新たな漫画本を手に取り、扉を背もたれにして座った。
「毎回、何でここに来るんだ?」
犯人が話しかけてきた。
「あなたとお話したいからだよ」
橘は返答すると漫画本を読み進める。
沈黙が続く。
読み終えると、新たな漫画本を手に取り、戻る。
小部屋の扉を背もたれにして座った。
「何でここで漫画本を読むんだ?」
「あなたとお話したいからだよ」
沈黙が続く。
「なあ、話をしないか?」
漫画本を半分位読み進めた時、犯人は話を持ち出した。
「あなたは一切話さないと言っていたが?」
「立て篭もった理由は話さない。ここから出るつもりも無い」
「立て篭もった理由について話したくなったら教えてくれ」
「ああ」
犯人は小さく同意した。
沈黙が続く。
橘は立ち上がった。
「どこか行くのか?」
犯人は言う。
橘は無視して本棚へと向かった。
新たに漫画本を手に取り、扉を背もたれにして座った。
「何の漫画本を読んでる?」
犯人の話に対して、橘は無視する。
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