格闘チャンプの異世界無双

〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

83話 襲撃

公開日時: 2022年10月27日(木) 11:22
文字数:1,054

「ふんっ! ふんっ!! ふんっ!!!」


 俺は筋トレを続けている。

 心地良い疲労感とともに、体の奥底から力が湧いてくるようだ。

 俺が満足感に浸りつつ、次に腹筋や背筋のトレーニングを考えているときだった。


(へへっ。お前が心配するから、これだけの増援を集めてきたぜ。さっさと片付けちまおう)


 扉の向こうから、ささやき声が聞こえてきた。

 俺が昼寝と筋トレをする前に、天井裏に潜んでいた奴の声だな。


(でもよぅ。あいつはタダモノじゃないぜ? この人数でも勝てるかどうか……)


 心配げな声が上がる。

 こっちは、同じく天井裏に潜んでいた奴のうち、俺と目が合った方の声だな。


(お前は心配しすぎなんだよ。この人数で負けるはずがねぇ)


(…………)


(それに、あれから2時間は経過した。間違いなく、痺れ毒も効いているはずだ。そうだろ?)


(だが、念には念を入れて確認した方が……)


(もうそんな時間はなくなっちまった。増援を集めるのに時間を使っちまったからな。これ以上遅れれば、領主様から怒られちまうよ。ほら、突撃するぞ! 野郎共、準備をしろ!!)


 男たちはそんなことを呟く。

 この2人の他、増援とやらが数人以上いるようだな。

 確かに、普通に考えれば向こうが負けるはずがない。

 部屋の中にいるのは、自称腕自慢のCランク冒険者とはいえ、痺れ毒で倒れているはず。

 そこに、応接室という密室で多人数で囲むわけだからな。


(だが、残念。自分で言うのもなんだが、俺は普通の男とは違うぞ? ふふふ、楽しみだな)


 俺はそんなことを考えつつ、荷重付きの片足スクワットを続けていく。

 心地良い疲労感とこれからの戦闘への期待感で、ハイになっちまいそうだぜ。

 俺が今か今かと待ち構えていたときだった。

 ガチャリ……。

 扉が静かに開いた。


(む? てっきり、突撃してくるのかと思ったが……)


 いや、そうか。

 奴らの考えでは、俺は痺れ毒で倒れているはずだったんだ。

 場合によってはそのまま眠っている可能性も考慮したのだろう。

 眠っている者を起こさないように静かに入るのは、合理的な判断だ。


 しかしもちろん、俺は眠ってなどいない。

 絶賛筋トレ中である。


「ふんっ! ふんっ!! ふんっ!!!」


「「「…………」」」


 突入してきた数名の男達は呆然と立ち尽くしている。

 おそらく、俺が元気にスクワットをしているから驚いてしまったのだろう。

 俺は彼らに視線を向ける。


「ようこそ、俺の部屋へ。後少しでキリのいいところなんだ。少し待っていてくれ」


「……え? あ、ああ。はい……」


 襲撃者のリーダー格の男は、動揺しながらも何故か丁寧語でそう返答したのだった。

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