格闘チャンプの異世界無双

〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

53話 ゴブリンエンペラーの奥の手

公開日時: 2021年12月23日(木) 06:24
文字数:1,101

 ゴブリンエンペラーとやらと交戦中だ。

 キングよりも少し強いが、まだまだ物足りない。

 俺は再び間合いを詰めると、今度は腹に蹴りを放つ。


「グゲェェッ!!」


 ゴブリンエンペラーは苦悶の表情を浮かべた。

 俺はそのまま回し蹴りで頭部を狙う。


「ゴアッ!?」


 ゴブリンエンペラーは慌てて腕でガードしようとするが、間に合わない。

 俺の蹴りはゴブリンエンペラーの右目を潰した。


「ギィヤアアァッ!!」


 ゴブリンエンペラーは耳障りな声を上げた。


「ほらどうした? かかってこい」


 俺は挑発するように、手招きをする。


「ゴアアァッ!!!」


 ゴブリンエンペラーは苦し紛れに再び突っ込んでくる。


「芸のない奴め」


 俺は軽くステップを踏むと、ゴブリンエンペラーの攻撃を回避して、カウンターで膝裏にミドルキックを放った。


「ギャフゥッ!!」


 ゴブリンエンペラーはバランスを崩す。

 俺は素早く背後に移動すると、後ろから首筋に手刀を打ち込んだ。


「ウガッ!!」


 ゴブリンエンペラーはそのまま地面に倒れ伏す。

 だがすぐに起き上がり、洞窟の奥へと逃げていく。

 まだ生きているのか。しぶとい魔物だ。


 逃がさんぞ。

 俺は後を追っていく。

 するとそこには、大量のゴブリンの死体が転がっていた。


「これは一体……」


 俺は首を傾げる。


「ギャオオォッ!!!」


 死体の中心に立つゴブリンエンペラーが雄たけびをあげる。


「ふむ? これは……。生命力を吸収しているのか?」


 ゴブリンの死体から発生しているエネルギーのようなものをゴブリンエンペラーが吸収していく。

 今のままでは俺に勝てないと判断して、仲間を殺してパワーアップを図ったわけか。


「強さを追い求める覚悟は認めよう。だが……」


「ギャオオォッ!!!」


 ゴブリンエンペラーがこちらに向かってくる。

 手には巨大な剣。

 この部屋に安置されていたものだろうか。


 生命力の吸収と巨大な剣。

 これらにより、奴は先ほどまでも一回り強くなっているはずである。

 さしずめ、奥の手といったところか。

 しかし……。


「その程度で、この俺を超えられると思うな」


 俺は振り下ろされる剣を、片手で受け止めた。


「ふむ。粗雑な造りだが……。なぜか切れ味はいいようだな」


 これも魔力や闘気とやらが関係しているのだろうか。

 この世界の物理法則はまだまだ掴みきれていない。

 剣を受け止めた俺の手先に、一筋の血が垂れる。

 俺の鍛え抜かれた体に傷を付けるとは、大したものだ。

 それがわずか1ミリにも満たない程度の浅い傷だろうとな。


「ギャオッ!?」


 ゴブリンエンペラーは驚愕の声を上げる。

 そして、咄嵯に距離を取ろうとする。

 しかし……。


「ギャオオオォッ!?」


 剣が俺の手から離れない。

 一度俺に掴まれておいて、簡単に引き戻せるとは思わないことだ。

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