冒険者ギルドでゴブリンキングやゴブリンエンペラーの討伐を報告しているところだ。
俺の冒険者ランクをCランクに上げてくれるそうだ。
「さて。では早速ですが、本日の成果を査定したいと思います。よろしいでしょうか?」
「ああ。問題ない。しっかり頼むぞ」
俺は金にあまり興味がない。
しかし、行商人の娘エミリーや孤児院の少女レオナ、それに村に残してきたフィーナたちに適切に援助してやるためにも、ある程度の金は必要だ。
金はあるに越したことはない。
「お任せください!」
受付嬢は笑顔になり、テキパキと仕事を片付けていく。
やがて、報酬のお金が入った布袋がカウンターに置かれた。
「こちらが、今回の討伐に対するリキヤさんの正当な評価額となります!」
「ふむ」
俺は袋の中身を確認する。
金貨が100……いや、200枚以上入っていた。
三馬鹿たちにもそれぞれ袋が渡されているが、俺の袋よりも明らかに小さい。
「ずいぶんと額が多いな。それに、俺の取り分が多くないか?」
俺はそう訊ねる。
「はい。それは当然のことです。ゴブリンキングやゴブリンエンペラーの死体をまるごと持って帰ってこられたので、通常よりも額は多くなっています」
「なるほど」
普通は、死体まるごと持ち帰ったりはしないようだ。
しないというよりは、できないのか。
この世界の冒険者たちは、あまり力が強くないようだしな。
「その上、リキヤさんが特に大きな活躍をされたとのことですので、それも査定に反映しています」
受付嬢が説明してくれる。
「おう。そういうことか」
俺は納得する。
「だが、お前たちはそれでいいのか?」
俺は三馬鹿にそう問いかける。
こいつらはザコだが、道中はがんばってゴブリンを討伐していた。
成果はともかくとして、努力は評価してやらんでもない。
「おいおい……。今回の取り分に文句を言うほど、俺たちは恥知らずじゃねえぜ」
「そうだそうだ! ギャハハ!」
「むしろ、これでも貰いすぎな気もするぜ。ま、貰えるもんは貰っておくがな」
三馬鹿たちがそう言った。
意外に殊勝な態度だ。
その精神だけは評価してやるか。
「わかった。ありがたく頂戴しよう」
俺はそう言って、布袋を受け取った。
これでエミリーやレオナに十分な援助ができる。
機を見て、フィーナの村に一度顔を出すのもいいだろう。
それでも使い切れなさそうだが、余りそうであれば他にもいろいろと使い道はある。
「はい! 今後も、どうぞよろしくお願いしますね!」
受付嬢が元気よく言う。
「ああ」
そして、俺はその場で三馬鹿と別れる。
外に出ると、もうすっかり夜になっていた。
「今日はよく働いたな」
俺はそう呟いて、宿屋へと戻るのだった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!