街に戻ってきた。
さっそく、三馬鹿とともに冒険者ギルドに向かう。
「依頼通り、ゴブリンの巣を潰した。依頼の達成処理を頼む」
「はい。お疲れ様でした。リキヤさん、それに”赤い三連星”の皆さんも」
受付嬢がそう言って俺たちを出迎える。
「それにしても、皆さんの実力はさすがですね。ベテランの”赤い三連星”の皆さんに期待の大型ルーキーであるリキヤさんが加われば、ゴブリンの巣も無事に潰せるとは……」
「ああ。なんてことはない仕事だった」
俺はそう返す。
もっと強い魔物と戦いたいものだな。
「……おや? ”赤い三連星”の皆さんに元気がないようですが……。どこか怪我をされたのでしょうか?」
受付嬢が心配そうな顔でそう言う。
確かに、三人の顔色は悪いように見える。
「お、おう……」
「ちょっと信じられないものを見たからな。ギャハハハハ……」
「こんなやつがこの世に存在するとは……」
三馬鹿がそう呟いた。
「ええっと……? よくわかりませんが、処理の方を進めさせていただきますね。まずは、ゴブリンの討伐証明部位を提出願います!」
受付嬢がそう言う。
「ふむ。わかった」
俺はゴブリンの耳を入れている袋を取り出し、彼女に渡す。
前回のように、カウンターの上にぶちまけることはしない。
彼女が袋の中を確認する。
「わわっ! これはまた、とんでもない量のゴブリンを討伐したようですね……」
「ああ。ざっと100匹は倒しただろうな」
数えたわけではないが、体感ではそれぐらいだと思う。
「そ、そんなに大規模な巣だったのですか! それは、ゴブリンキングが発生している可能性がありますね……。リキヤさんたちが遭遇せずに済んで、よかったです!」
受付嬢がそう言う。
「ん? ゴブリンキングとやらなら、倒したぞ」
俺はそう答える。
「え?」
受付嬢が目を丸くする。
「聞き間違いでしょうか? ゴブリンキングを倒されたと聞こえたのですが……」
「聞き間違いではないぞ。確かに倒したとも」
「ええっと……。わずか4人で討伐されたと? 皆さんの確かな実力は知っていますが、さすがに信じられませんね……。討伐証明部位は、この袋に入っていないようですが……」
ゴブリンキングの耳は、通常のゴブリンの耳よりもひと回り以上大きい。
「討伐証明部位としては持って帰ってきていないな」
俺はそう告げる。
「言いにくいことですが、それだと討伐を認めることは難しいのですが……」
受付嬢が申し訳なさそうにそう言う。
「心配ない。ちょっと待ってろ」
俺はそう言って、冒険者ギルドの出入り口に向かう。
邪魔になるかと思い、ゴブリンキングとゴブリンエンペラーの死体は冒険者ギルドの外に置いているのだ。
それらを両肩に担く。
そして、またカウンターの方に戻っていく。
討伐証明部位としては剥ぎ取っていないが、右耳ももちろん健在だ。
死体まるごと持ってきたら、さすがに討伐を認めてもらえるだろう。
報奨金やランクアップに期待したいところだ。
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