時は1週間ほど前にさかのぼる。
フィーナの村から、少し離れた街道にて。
1台の馬車が、盗賊たちに追われていた。
馬車に乗っているのは、行商の一家だ。
30代くらいの夫妻と、10代中盤の娘である。
「く……。逃げ切れるか……」
「あなた」
「お父さん」
必死に馬の手綱を握る男に対し、彼の妻と娘が心配そうにそう言う。
「ギャハハ! 待て待てい!」
「ヒヒヒ! 粘るねえ。いつまで持つかな?」
追っている男たちがそう言う。
男たちは馬に乗っている。
荷物を運んでいる馬車よりも、スピードでは上だ。
徐々に差が縮まっていく。
「く……。エミリー、あれを使え!」
「わかった! ……爆ぜろ、爆炎石!」
行商一家の娘が、何やら唱えた後に石を盗賊たちの足元に投げつける。
そして。
ドゴオン!
石が爆発した。
「ちっ。爆炎石か。鬱陶しい」
盗賊たちは、かろうじて爆発を回避する。
しかし、回避行動のために速度は犠牲になった。
逃げる行商一家との距離は広がった。
「ヒヒヒ! でも、ムダさ。あの先には……」
盗賊の男が、怪しい笑みを浮かべながらそう言う。
行商一家の馬車が向かう先には、盗賊の集団が待ち構えていた。
ざっと20人以上。
馬車の通り道には丸太が置かれている。
強行突破は難しい。
「くっ。逃げられんか……!」
「あなた」
「お父さん!」
とうとう、行商一家の馬車は完全に停止することになった。
ここぞとばかりに、盗賊たちが距離を詰め、ぐるっと取り囲む。
「ギャハハ! おとなしく金目のモンを全て渡せ!」
「ヒヒヒ! 抵抗はムダだぜ!」
盗賊たちがそう言う。
行商一家の馬車の中には、現金や商品が積まれていることだろう。
それらを全てぶんどれば、それなりの収入になる。
さらに、この場にはそれ以上に価値のある財産もある。
「わ、わかった。金は全部渡す。だから、妻と娘だけは許してくれ!」
行商の男が悲壮な顔でそう言う。
大人数の盗賊に取り囲まれた以上、逃げることは現実的ではない。
ここは何とか機嫌をとり、金目のものだけで許しを請うしかない。
「ギャハハ! 利口な判断だぜ」
「野郎ども! 全てを奪いアジトに持ち帰るぞ!」
ボスの指示に従い、盗賊たちが物品の確認を始める。
とは言っても、馬車ごと奪うのでさほどの手間はないが。
馬車内の物品をざっと確認した盗賊たちは、次に行商の妻と娘に目をつける。
「ガハハ! この女も高く売れそうだな! ちょっと年はいっているが」
「ヒヒヒ! 若さならこっちの娘のほうがいいぜ! まだ体は成長しきってねえがな!」
「きゃあっ! や、やめて……」
盗賊たちが、行商の妻と娘に手を出す。
娘は怯えて抵抗するが、もちろん盗賊たちの腕力には逆らえない。
あっという間に服を脱がされていく。
10代中盤の、まだ成長しきっていない裸体が盗賊たちの目に晒された。
「なっ!? 妻と娘には手を出さないと……!」
行商の男が必死の形相でそう言う。
「ギャハハ! 若い女を目の前にして、手を出さない理由がどこにあるんだ!?」
「金目のモンつったら、もちろん女も含んでいるに決まっているだろうが!」
盗賊たちがあざけるようにそう言う。
「ガハハ! せっかくだし、コイツの前で犯してやることにするか!」
「そりゃいい! 夫の前で、この女をよがらせてやるぜ!」
盗賊たちが行商の妻に群がる。
服を脱がせ全裸にして抑えつける。
「こっちの娘もだ! 体がまだ成長しきってねえガキだが、やることはやれるだろう」
「父親の前で、経験豊富になるところを見せてやるぜ!」
「「「ぎゃーはっはっは!」」」
哀れな行商一家。
妻と娘が全裸にされて輪姦されるところを、夫が死にそうな目で見ている。
盗賊たちはたっぷりと楽しんだ後、戦利品と行商一家を連れてアジトに引き返した。
アジトで待つ仲間たちが、再び楽しむことになるだろう。
行商一家の命運は、尽きようとしていた。
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