「なに? 領主が俺を呼んでいるだと?」
「はい。なんでも、リキヤさんとお話がしたいとのことです」
ある日のこと。
俺は冒険者ギルドで受付嬢に呼び出され、領主からの呼び出しを受けたことを知らされた。
「ふむ。領主……つまりは貴族と謁見するわけか。俺のような平民にいったい何の用だ?」
「さあ? 詳しいことは存じ上げませんが」
まあ、十中八九、興味本位だろうな。
俺がこのノックスの街を拠点に活動を始めて、数か月が経つ。
フィーナの村から連れてきた盗賊を奴隷として売り払い、『赤い三連星』を名乗るCランク冒険者を一蹴し、大量のゴブリンを狩り、ゴブリンキングやゴブリンエンペラーまで討伐した。
ここ最近は、ネネコや『赤い三連星』を鍛え、それぞれが活躍を見せている。
俺の名前は街に広まりつつある。
そんな中での突然の領主からのお呼び立て。
噂の男がどんなものかひと目見てやろう、といったところだろう。
「面倒だな……」
だが、断ることはできない。
断ったらこの街にはいられなくなる可能性がある。
「仕方がない。呼び出しに応じると伝えてくれ。それで、日時は決まっているのか?」
「いえ、それはまた改めて連絡をいただくことになっています」
「そうか。わかった」
俺は冒険者ギルドを後にする。
そして、ネネコが待つ宿屋へ戻ったのだった。
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