ブラック盗賊団のアジトへやって来た。
アジトは山のほら穴につくられている。
そして、見張りの2人を倒したところだ。
「さて。さっそく中へ入る。お前たちは後ろでしっかり見ていろ。万が一取り逃しがいれば、協力して倒せ」
「「了解しやした。リキヤの兄貴!」」
俺に同行している村の男たちが元気よくそう返答する。
俺たちはアジトの中を進んでいく。
足音の反響具合からして、そこそこ深いほら穴のようだな。
とはいえ、広大というほどでもなさそうだ。
しばらく歩く。
かすかに、話し声が聞こえてきた。
「(野郎ども。本陣は近い。ここからは特に足音に注意しろ)」
「「(承知しやした)」」
俺たちは、ひっそりと近づいていく。
何やら明るい一区画がある。
火を起こしているわけではないようだが、何らかの道具により明かりが灯されているようだ。
俺は物陰から様子をうかがう。
その明かりの周囲で、盗賊らしき者たちが酒盛りをしていた。
「はっはっは! 最近は大儲けだな!」
「そうですな。お頭!」
大男が上機嫌に酒を飲んでいる。
あれがこの盗賊団のボスか。
他にも、20人以上のメンバーがいる。
「あの商人、傑作だったぜ! 金は全部渡すから、妻と娘だけは許してくれだとよ!」
「ガハハ! もちろん、許してやったさ! 命だけはな!」
「男の目の前で、妻と娘を犯してやったときの表情と言ったら。爆笑モンだぜ!」
男たちが上機嫌に笑い合う。
何やら胸くそ悪い話をしているな。
強盗と強姦か。
「また明日も楽しめそうだな! そのためだけに、あの男もついでに生かしてやるんだからよ!」
「ま、俺たちが飽きるまでの命だがな! 飽きたら男は殺して、女は奴隷として売りさばいてやるぜ!」
どうやら被害者たちは、まだ生きているようだ。
さっさとこいつらを倒して、救出してやろう。
「ガハハ! 売りさばく前に、ガバガバになれねえように注意しないとな!」
「ついこの間までは処女だったのに、今や経験人数10人以上だもんな!」
「なあに。俺たちは経験を積ませてやってんのさ。性奴隷となるときに役立つぜ!」
「「「ギャハハハハ!」」」
男たちが不快な会話を続けている。
油断しきっている彼らの死角を利用して、俺はこっそり忍び寄る。
「おおい! 酒がなくなったぞ! 次を持ってこい!」
「お頭。こちらを」
盗賊のボスに対して、俺は酒瓶を差し出す。
「おお、早いな。気が利くじゃねえか。まだまだ酒を飲んでいくぞ!」
「たくさん飲め。遠慮せず、頭からな」
俺はそう言って、差し出していた酒瓶をボスの頭に叩きつける。
パリーン!
「ぐっ! 何しやがる! 殺されてえのか!?」
ボスがそう言って、俺から距離をとり警戒態勢を取る。
あまりダメージはないようだ。
まあ、酒瓶を叩きつける攻撃は意外と攻撃力が低い。
瓶が割れるので派手なだけだ。
割れた後の破片で斬りつけるほうが殺傷力は高い。
「お頭! こいつ、見慣れないやつですぜ!」
「なにい!? 侵入者か! 見張りのやつらは何をしてやがる!?」
ボスがそう言う。
「見張りのやつらなら軽くもんでやったぞ。あんなやつら、居てもいなくても変わらん」
まあ、見張りをやらされているぐらいだから、立場としては下なのかもしれない。
ここで酒盛りをしているようなやつらは、立場が上だろう。
少しは骨のあるやつらがいるかもな。
「ふん! 見張りを2人倒したぐらで、いい気になるなよ!」
「ノコノコ1人で現れやがって! この人数に勝てると思ってんのか!?」
「野郎ども、囲め囲め!」
盗賊たちが俺を囲む。
少し後ろで、ボスが俺をにらんでいる。
あのボスだけは、そこそこやるようだ。
実際に戦ってみたい。
しかしその前に、ザコども10人以上を蹴散らさなくてはならん。
少しは楽しませてくれるといいのだが。
俺は期待を胸に、戦闘態勢を整える。
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