格闘チャンプの異世界無双

〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無双する〜
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
猪木洋平@【コミカライズ連載中】

54話 最後は自分の剣で止めを刺してやる

公開日時: 2021年12月25日(土) 07:02
文字数:1,062

 ゴブリンエンペラーと交戦中だ。

 奴から振り下ろされた剣を俺が受け止めた。

 必死に剣を引き戻そうとしてくるが、俺に力負けしている。


「ほらほら。片手の俺に力負けするのか?」


「ゴアアァッ!!」


 ゴブリンエンペラーは必死の形相で剣を引っ張る。

 俺はふっと力を抜く。

 ゴブリンエンペラーの体勢が崩れたところで再び力を入れ、剣を奴の手から奪取した。


「悪くない剣のようだな。これは俺が研究のためにいただいてやろう」


「ギャオアッ!?」


 ゴブリンエンペラーは絶望的な表情を浮かべた。


「さあ、そろそろ終わりだ」


 俺はゴブリンエンペラーの胸に拳を叩き込む。

 ドガアァンッ!!

 轟音とともに、ゴブリンエンペラーは吹き飛んだ。

 洞窟の壁に激突し、磔になる。


「最後は自分の剣で止めを刺してやる」


 ヒュッ!

 俺は奪った剣を投擲する。

 音速を超えた刃は、ゴブリンエンペラーの首に突き立った。


「ゴアアァッ!! アアァ……」


 断末魔の叫びを上げ、ゴブリンエンペラーは絶命した。


「ふむ。こんなところだろう。次はもう少し強い奴と戦ってみたいものだ」


 俺はそう呟きながら、ゴブリンエンペラーの死体に近寄る。

 こいつの剣撃は俺の手先に若干の傷をつけた。

 この異世界に来てから、一番の強敵だったと言ってもいいだろう。

 いい運動になった。


 冒険者としてランクを上げていけば、もっと強い魔物と戦う機会があるかもしれないな。

 そのためにも、まずはこいつを街まで持ち帰るべきだろう。

 俺はゴブリンエンペラーの死体を担ぎ上げる。

 ついでに、ゴブリンキングの死体も合わせて持ち上げる。

 右肩にキング、左肩にエンペラーだ。


「よしっ!」


 そのまま、俺は洞窟を出る。

 ちょうど、三馬鹿がこの洞窟に入ろうとしているところだったようだ。


「おう。遅かったな。こいつはもう倒したぞ」


 俺はそう言って、ゴブリンエンペラーとゴブリンキングの死体を一度地面に置く。


「なっ!? バ、バカな……」


「嘘だろ!?」


「そんなことが、ありえるはずがねえッ!!」


 三人は目を丸くしている。


「お前らが騒ぐ割には、大したことがない相手だった。まあ、ゴブリンキングよりは、こっちのエンペラーの方が少しだけ強かったが」


 俺は淡々と事実を告げる。


「なん……だと……」


「信じられん……」


「ありえない……」


「ああ、後はこの剣も気に入った。ゴブリンエンペラーが使っていたものだが。俺がもらっても構わないな?」


 俺はゴブリンエンペラーが持っていた剣をかざしてそう言う。


「お、おう……」


 モヒカンがなぜかドン引きした様子でそう言う。

 やれやれ。

 ゴブリンエンペラーとやらを倒しただけで、大げさな奴である。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート