俺はたくさんの弟子をゲットした。
領主邸の応接室で、たっぷりと筋トレに励む。
「ふぅ。いい汗かいたな!!」
「「「…………」」」
弟子たちは言葉もなく息を切らしている。
この程度で音を上げるとは、鍛え方が足りん。
俺の弟子になったからには、徹底的に鍛えてやることにしよう。
俺がそんなことを考えているときだった。
コンコン。
扉の向こうからノック音が聞こえてきたのだ。
「大変お待たせいたしました。メイドのサキでございます」
「ああ、入ってくれ」
俺がそう言うと、ややあってドアが開かれる。
「失礼しま――って、ええっ!? な、なんですかこの状況は!?」
「ん? お前の知り合いじゃなかったのか?」
このチンピラたちは、俺へ害意を持っていた。
メイドのサキから出された茶に痺れ毒を仕込んだり、屋根裏に潜んだり、これだけの人数を集めて扉から襲撃してきたり……。
とても外部の人間にできることではない。
こいつらと領主が繋がっているのはほぼ確定。
そして当然、メイドのサキも関係者だと思っていたのだが。
「知りませんよ! ど、どうなっているんですか!?」
「まぁ、細かいことは気にするな」
「細かくありません!」
「まあまあ、そんなことより茶のお代わりでも……」
「そんなことよりじゃないです!」
サキが取り乱している。
この様子だと、本当に知らなかったようだな。
「それで? ずいぶんと待たされたが、領主は俺と会う準備ができたのか?」
たった今思い出した。
俺がここにやって来たのは、領主と会うためだった。
昼寝、筋トレ、弟子たちへの指導。
かなりの時間が経過しているわけだが、未だに会えていないとはどういうことだ?
「あ、いえ……。領主様ですが、本日はご都合が悪くなったとのことでして……」
「ふむ? 今日という日程は領主から指定されたものだったはずだが?」
俺は少しだけ不機嫌になってしまうのだった。
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